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藤原正彦 伝統というもの 古風堂々49 

文・藤原正彦(作家・数学者)

 古くからの慣習や伝統、広くはその国の文明とも言うべきものは、人が尊ばなくなると次第に衰微し、やがて消えてしまう。『文明の衝突』の中でハンティントン教授は、世界の高度に発達した文明を七つに分類した。中華文明、ヒンドゥー文明、イスラム文明、東方正教会文明、西欧文明、ラテンアメリカ文明、そして日本文明の七つである。分類を試みる学者は誰もが、小さな島国日本だけのものである日本文明を中華文明に組み入れようとし、結局は皆日本文明を独立したものとする。

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