見出し画像

野村克也 情と器

ヤクルトスワローズを三度の日本一に導いた元監督の野村克也(1935〜2020)。現役時代に薫陶を受けた広澤克実氏が、野村の名将たる所以を語る。

野村克也 ©文藝春秋

 私にとって野村克也という方は、ヤクルト・阪神での現役時代を経て引退後も常に刺激を与えて下さった師のような人。私のもう一人の師、明治大学時代の島岡吉郎監督とは共通点が多い。性格的に情に厚く、名将の条件を備えている点ですね。条件の一つは勝負に強い。二つ目が選手を育てる。最後は指導者も育てる。

広澤克実さん ©共同通信

 現ヤクルト監督の髙津臣吾は弟子として教えを守ってリーグ2連覇を果たしました。私もアマチュア指導において、常に野村さんを頭においています。名将たる野村さんは常に謙虚に学び、好奇心の強い人でした。亡くなった後、御宅へ伺った際に驚かされたのは、その蔵書の多さ。芸能、スポーツから政治経済まで多岐に渡る。三冠王を獲った30代から「自分は無知だ」と自覚して読書を欠かさなかったようです。

ここから先は

417字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください