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甦るグループサウンズ 岸部一徳×森本タロー×近田春夫

「沢田研二をスカウトした時は……」「僕とタローが声をかけたんじゃなかった?」「かつみは自分がスカウトしたって(笑)」/岸部一徳×森本タロー×近田春夫、 構成・下井草秀

 近田 タイガースは、どういういきさつを経て結成されたんですか。
 
 岸部 どうだったかなあ……。古希をとうに超えたこの歳になると、メンバーそれぞれの記憶がバラバラになってるんですよ。
 
 森本 肝腎の沢田研二をスカウトした時の状況すら一致しない。
 
 岸部 京都の河原町にあった「田園」というディスコのステージで、別のバンドのヴォーカルとして歌っていた沢田の出番が終わってから、僕とタロー(森本)が声をかけて立ち話をしたんじゃなかった?
 
 森本 いや。その後、近くの「凱旋門」という深夜喫茶に連れてきて、そこで説得したんじゃなかった?
 
 岸部 ほら、このぐらい記憶が食い違う(笑)。少なくとも、誰が口説いたのかに関しては、沢田本人の記憶が正しいと思うんだよ。
 
 近田 何て言ってたんですか。
 
 岸部 「(加橋)かつみは自分がスカウトしたと言ってるけど、僕は、サリー(岸部)とタローに声をかけられたという風に思ってる」って。
 
 近田 加橋さんは加橋さんでまた別のこと言ってるんですね(笑)。
 
 森本 まあ、沢田の言ったことが正解ってことにしておこうよ(笑)。

 近田春夫氏が上梓した『グループサウンズ』(文春新書)が、話題を呼んでいる。1966~70年の5年間、我が国の芸能界に狂い咲いた一大ムーブメントを振り返る本書で、大きくページを割いて取り上げられているのが、GSことグループサウンズの雄たるザ・タイガース。

 そのメンバーであった岸部氏、森本氏は、6月25日にさいたまスーパーアリーナで開催される沢田研二氏のコンサートに参加。久しぶりに、タイガースの一員として舞台に登場する。

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