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英語教育は能力に応じて 平川祐弘

文・平川祐弘(東京大学名誉教授)

平川祐弘 ©文藝春秋

 古代から大陸の文化を学んだ島国日本人の第一外国語は、千数百年のあいだ漢文で、昔は中国人と会話する機会は少なかったから、教育は漢文古典の講読が中心となった。その様は西洋で青年の教育がラテン語古典講読が中心だったことと似ていた。通訳の身分で明治維新前に3回欧米に渡航した福沢諭吉は、西洋文明の偉大を痛感、漢籍を捨て英書を読めと主張、慶応義塾を開いて日本の「英学の父」となった。その時以来、英書講読が授業の中心となり、日本の第一外国語は英語、我国は言語的にも文化的にも「脱漢入英」した。

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