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池田勇人 名に恥じぬよう精進

「所得倍増計画」で高度成長を演出した総理大臣の池田勇人(1899〜1965)。いま宏池会(旧池田派)を引き継ぐ岸田文雄首相は、池田からどんな点を学んだのか。

池田勇人 ©時事通信

 2021年の国会での議論。好きな政治家は誰か、との野党議員からの質問に、私は、池田勇人総理を、「大きな目標」としていると答えました。

岸田文雄首相 ©文藝春秋

 直接お会いする機会はありませんでしたが、同じ広島出身というご縁で、色々な関係の方から池田総理のエピソードを聞いてきましたし、池田総理に関連する書物も随分読みました。

 比較的最近では、池田総理を主人公とした「疾風の勇人」という漫画を面白く読んだことを覚えています。

 池田総理は、多くの困難に直面しながらも、黙々と力を付け、人生を切り拓いてこられた方でした。若い頃に大病を患うなど大変な逆境を経験しながら、最後は、総理にまでなられ、日本の歴史に大きな足跡を残されました。

 池田総理が興された政策集団「宏池会」は、「高光のうてなに休息して宏池に臨む」との中国の古典から名づけられています。すなわち堂々として動ずることなく、綽綽たる余裕のある集団として発足しました。

 池田総理の人間的な逞しさや、力強さ、素直で、正直なお人柄、そうした、池田総理の生き様が宏池会として体現されました。

 その宏池会では、池田総理が大切にしてきた現実主義の考え方や、寛容と忍耐、正姿勢といった政治姿勢が大切に引き継がれ、私の政治家としての背骨を創っていると申し上げても過言ではありません。

 そして、私は、今まさに宏池会の第九代会長として、久方ぶりの宏池会政権のかじ取りを担っています。

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