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保阪正康 社会主義政党の虚構と自己矛盾 日本の地下水脈32

戦前は陸軍に同調し、戦後はマルクス主義の夢を貪った革新集団/保阪正康(昭和史研究家)、構成・栗原俊雄

 統一地方選挙と衆参補欠選挙が終わったが、自公連立政権に揺らぎはなく、国民の政治的無関心が露呈したかたちである。日本は内外に深刻な問題があるにもかかわらず、有権者の半数以上が投票しない。まさに国家として危機的な状況にある。

 かくも政治的無関心が常態化してしまったのはなぜか。その原因として、自民党に代わりうる選択肢がないという現実がある。立憲民主党をはじめ野党は、自民党に対抗できる勢力にはなっていない。そのため政治に希望が見出せず、「選挙に行かなくても結果は同じだろう」と投げやりな有権者が多いのではないか。

 だが、かつては社会党という対立軸があった。一時は保守陣営を脅かすほどの勢力をもち、政権与党となったこともある。ところが1990年代前半、冷戦構造の崩壊とともに社会党は急速に党勢を失った。

保阪正康氏 ©文藝春秋

 今回は、なぜ社会党は自民党に代わりうる存在になりえなかったのか、その地下水脈は現在の日本社会にどのようなかたちで流れているのかを考えてみたい。

軍部にすり寄る国家社会主義者

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