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鹿島茂 芥川の死 菊池寛アンド・カンパニー18

弔辞を読み上げながら、嗚咽でしばし絶句した/鹿島茂(フランス文学者)

 大正15年6月、それまで雑司ケ谷の菊池寛邸(東京市外高田雑司ケ谷金山339番地)に間借りしていた文藝春秋社は分離・独立して麹町区下六番町の旧有島武郎邸に移転した。これにより、菊池寛は午前中は金山の自宅で連載小説等の執筆を行い、午後からは自家用車パッカードに乗って麹町の社屋まで出向いて社長業に専念するという形で、公私の区別を時間・空間でつけることができるようになった。このことが昭和3年の株式会社化へとつながってゆくのだから、菊池寛アンド・カンパニーにとって麹町移転の意味は小さくないのである。

菊池寛 Ⓒ文藝春秋

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