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「正社員=勝ち組」ではない 今野晴貴

文・今野晴貴(NPO法人「POSSE」代表)

今野晴貴 ©共同通信社

 2000年代、正社員は学生のあこがれの的だった。就職氷河期に若い非正規労働者が激増し、フリーターが社会問題となった。教師も親も、そして若者自身も正社員で就職すれば「人生勝ち組」と本気で信じていた。これに拍車をかけたのが、2008年末の「派遣村」の衝撃だろう。リーマンショックが起こると派遣労働者たちが大量解雇され、社員寮からも追い出されて路上にあふれ出た。「派遣村」はそうした非正規労働者たちが厚生労働省前の日比谷公園にテント村をつくり、ボランティアの支援を受けながら抗議活動をしたもので、同年の年末から年始にかけて連日大々的に報道された。

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