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泣いて笑ってシャイロック 池井戸潤×阿部サダヲ×本木克英

「映像化は正直無理だ」と思っていたら……/池井戸潤(作家)×阿部サダヲ(俳優)×本木克英(監督)

 映画『シャイロックの子供たち』(松竹)が2月17日に公開される。池井戸潤氏による同名小説を、本木克英監督、阿部サダヲ氏主演で映像化した。映画は小説と物語の展開が異なる完全オリジナルストーリー。池井戸氏は脚本協力として参加している。

 東京第一銀行の小さな支店で起きた100万円の現金紛失事件。阿部氏演じるベテランお客様係の西木雅博が、同じ支店の北川愛理(上戸彩)と田端洋司(玉森裕太)とともに事件の真相と“犯人”を追ううちに、メガバンクに蔓延(はびこ)る闇が明らかになっていく――。

 池井戸氏が「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と位置付ける小説はいかにして映画に生まれ変わったのか。池井戸氏、本木氏、阿部氏の3人が映画化の企画から撮影のこぼれ話まで製作の裏側を語った。

 池井戸 最初に映像化の話を聞いたとき、正直「無理だ」と思ったんです。原作は10編から成る連作短編で、主人公は毎回異なり、支店内でさまざまな立場にある銀行員たちの姿を描いていますから。それを2時間の映画のなかに収めるのは至難の業だなと。しかも、映画で主役となる西木は、原作の中盤で行方不明になっちゃいますからね。

 阿部 役をいただいて原作を読んでみたら、西木が途中で行方不明になるのであんまり登場機会がない。そんなに大変じゃないなって思っていました。

 本木 主役だと思っていなかったって?(笑)

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