見出し画像

【つ】「月がきれい」の伝説 ネットの人々と考察する 飯間浩明 日本語探偵75

国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。

【つ】「月がきれい」の伝説 ネットの人々と考察する

夏目漱石が英語教師だった頃、「I love you」を「君を愛する」と訳した生徒に対し、漱石は「日本人はそう直接的には言わない。『月がきれいですね』と訳しなさい」と諭した――こういう話を聞いたことはありますか。

自分の気持ちを婉曲に表す日本人らしい話、という印象を受けますが、実はこれは1970年代に現れた都市伝説、つまりガセネタです。漱石がそう諭したという話に関して、70年代よりもさかのぼる文献はありません。

私は以前、ツイッターで「月がきれいですね漱石説」に疑問を呈しました。私が見た例の中では、『言語生活』87年4月号の吉原幸子の文章が古いものでした。漱石発言を〈月がきれいですねえ〉と紹介していました。これに対し、いろいろな人が情報をくれました。

ここから先は

645字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください