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おひとりさま用の介護制度を 上野千鶴子

文・上野千鶴子(東京大学名誉教授)

上野千鶴子 ©文藝春秋

 2000年に介護保険制度ができたとき、やった! これはわたしのためにできたんだ、と思いました。それまで家族に頼れないおひとりさまは、最期は病院か施設の片隅でひとり寂しく、というのが相場でした。ですが他人様におすがりしてもよいという選択肢が登場したのです。

 介護保険は利用者中心を謳っていますが、その実、家族介護の負担軽減が政策意図であり政策効果であったことは事実です。成立当初の高齢者の子との同居率は49.1%、夫婦世帯まで含めれば8割を超えていました。65歳以上の者のいる世帯のうち単身世帯は19.7%でした。それが2019年には28.8%と増加しました。

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