見出し画像

一山本 笑顔絶えない元公務員力士の存在感 大相撲新風録23 佐藤祥子

一山本(いちやまもと、北海道岩内郡岩内町出身、放駒部屋、29歳) 日本相撲協会提供

 実に28年ぶりとなった幕内優勝決定巴戦。大関貴景勝と元大関高安を下し、逆転初優勝の快挙を成し遂げたのは平幕の阿炎だった。横綱大関ら上位陣の成績が振るわない昨今、一山本が、この1年で存在感を増してきた。中央大学相撲部を経て、地元北海道福島町役場の教育委員会に就職、同町の「横綱千代の山・千代の富士記念館」で、子どもたちに相撲を教えていた“山本先生”だ。入門年齢規定が緩和されたことでプロ入りを決心し、角界に“再就職”した道産子力士である。

 2017年1月、23歳で元大関若嶋津の率いる二所ノ関部屋から初土俵。北の大地でのびのびと育った187センチ145キロの体躯で、伸びやかな長い手足で繰り出す突き押しを得意とする。色白の肌に黒々とぱっちり開いた大きな目がなんとも可愛らしい力士でもある。2021年7月の名古屋場所で新入幕を果たしたが、二場所で十両に陥落。それでも十両優勝を果たして幕内に返り咲き、この1年間は幕内の座を守り抜いた。

 本名は“山本”で四股名を考える際、「そのままでは画数が良くないとのことで“一”を加えたんですよ」と笑う。名古屋場所で飾られた七夕の短冊には、勝ち越しを祈って“八山本”と茶目っ気たっぷりにしたためてもいた。

ここから先は

337字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください