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川島真 漱石『夢十夜』に精読を学ぶ

文・川島真(東京大学教授)

 学術の世界に身を置くと本の読み方が変わる。著者の問題意識、先行研究の批判、課題の解決方法、実証過程、自らのオリジナリティの説明(結論)。こういった要素を読み解くのが「構え」になるからだ。
 
 こんな本の読み方は、幼少期から続けてきたはずの「読書」とは言えないのだろう。ただ、研究者になってから、「読書」をしなくなった訳でもない。今回この小文の執筆の機会をいただいて考えたのは、これまで本とどのように関わってきたのか、その関わり方が自分の中でどのように変化してきたのか、ということだ。はなはだ「自分目線」だが、その時々の本との接し方、その軌跡について記してみたい。

 川島真氏

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