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特別再録「オリンピックの英雄たち」(中編)
東京五輪まであと500日を迎えた1963年の春。
それまでのオリンピックで活躍した英雄たちが、当時を振り返った。その座談会の中編をお届けする。
競泳5種目の優勝や、バロン西の勇姿が燦然と輝くロス五輪、「前畑ガンバレ」の名実況が記憶に残ったベルリン五輪。オリンピックの栄光がふたたび蘇る。/聞き手・ 川本信正(スポーツ評論家)&菅沼俊哉(共同通信運動部長)
この記事に登場する人物
遊佐幸平(
長崎の愛に支えられて――髙田春奈
文・髙田春奈(V・ファーレン長崎社長)
2020年1月2日付でサッカーJ2リーグV・ファーレン長崎の代表取締役社長に就任した。経営破綻寸前までいった地方クラブを、地元企業であるジャパネットホールディングスが引き継ぐ決意をしたのがつい3年前の2017年4月。当時は広報担当として一通りの出来事に立ち会ったが、まさか自分が社長としてこのクラブに携わることになろうとは。
長崎に生まれながらも、中学
『21 Lessons』ユヴァル・ノア・ハラリ――佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史
AIの発展に人類はついていけない
中長期的視点に立つと日本の雇用環境は厳しくなる。AI(人工知能)技術の急速な発達によって、ホワイトカラーと呼ばれる人々の事務系、技術系の仕事が大幅に機械に代替されるからだ。このような技術転換が、新卒一括採用、終身雇用という日本の慣行に合致しなくなっている。
〈社内の中高年は急増している。終身雇用の宿命だが、バブル期の大量採用によっていびつさが増している。みずほ
直木三十五の場合――東京とは馬が合わなかった 門井慶喜「この東京のかたち」#7
★前回の話はこちら。
※本連載は第7回です。最初から読む方はこちら。
第162回芥川賞・直木賞が発表されました。ここでは直木賞のほうに話をしぼりますが、受賞者が川越宗一さんと聞いて、私は、
――宗一かあ。
偶然の一致がおもしろかった。直木賞はいうまでもなく大正昭和期の作家・直木三十五を記念したものですが、この作家は、本名を植村宗一というんです。
姓の「植」の字をふたつに割って「直
飯間浩明の日本語探偵【は】「反社会的勢力」の共通認識を作ればいい
国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【は】「反社会的勢力」の共通認識を作ればいい「反社会的勢力」および略語の「反社」は、2019年に一気に広まったことばです。芸能人が事務所を通さない「闇営業」で反社の会合に参加していたことが盛んに報道されました。さらに、政府主催の「桜を見る会」に反社の関係者が参加した疑惑も指摘されました。
この「反社会的勢力」とは
小説「観月 KANGETSU」#17 麻生幾
第17話
ガス橋殺人事件(1)
★前回の話はこちら
※本連載は第17話です。最初から読む方はこちら。
10月5日 東京
まだ夜が明けきっていない空気を胸一杯に吸い込みながら久保田翔太(くぼたしょうた)が言った。
「10月にしては寒いな」
「これくらいがちょうどいいじゃん」
ジョギング姿で併走する妻の美智(みち)が応えた。
「やっぱり、明日は、空が白んでからにしない?」
夫が