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最長寿の語学番組|杉田敏
文・杉田敏(元NHK「実践ビジネス英語」講師)
1987年、NHKラジオ講座「やさしいビジネス英語」を始めました。最初はいろいろな方面から「ちっともやさしくない」とよく言われたものです。ただ、そうしたクレームが実際にNHKにはほとんど寄せられなかったのは、「ビジネス英語がそんなにやさしいはずはない」とリスナーが思ったからかもしれません。私としては「この番組がやさしく聞こえるようになることが、皆さ
塩野七生 30人のためだけに 日本人へ216
文・塩野七生(作家・在イタリア)
1度だけ、生前の司馬遼太郎と、じっくり話をしたことがある。対談のような仕事の場ではない。同席者も私を初めて先生に紹介した人なので、この大作家に対しても、正直に率直に質問した。先生にとって最も嬉しい読者はどんな人ですか、と。書く自分の意図を正確に受けとってくれる人、という答えを予想していたのだが、先生の答えはちがった。「司馬遼太郎は今、こういうことが書きたかったの
ぜいたくの対義語|中野信子「脳と美意識」
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※本連載は第33回です。最初から読む方はこちら。
社会が危機的な状況になると、不思議なことに、ぜいたく品(必需品でないもの)を消費する人に対しての視線に、より多く冷たいものが混じるようになっていくようだ。贅沢は敵だ、とでもいったところか。高い服を買ったり、宝飾品を買ったり。
宝飾品もハイブランドの服も売り場が閉まってしばらく経つ。映画も美術展もダメ。三密を避けて注意深
藤原正彦 いまこそ内政干渉を 古風堂々25
文・藤原正彦(作家・数学者)
先日、コロラド州ボールダーのスーパーで銃乱射があり10名死亡、とのニュースを見て思わず声を上げた。このキングスーパーズは私の住んでいたアパートからほど近い、何度か買物もしたことのある店で、世界的数学者シュミット教授のお宅にお招ばれの時は右折(ガールフレンドのジャンの所に行く時は左折)の目印としていた所でもある。
アメリカが銃乱射の国であることは半世紀も前に耳にして
【歌舞伎町ビル火災】和解交渉人「20年後の告白」
歌舞伎町ビル火災は、2001年(平成13年)9月1日未明、東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビル「明星56ビル」で起きた。3階の麻雀ゲーム店「一休」、4階の風俗店「スーパールーズ」両店の従業員、客、44名が犠牲になり、平成史上最悪の火災事故になった。
出火原因は未だはっきりとせず、幾つもの噂が流れた。/文・本橋信宏(作家)
平成史上最悪の火災事故
「空から人が降ってきた」
下にいた通行人が、思わず自