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鹿島茂 菊池寛帝国が崩壊? 菊池寛 アンド・カンパニー16
関東大震災から帝都東京が復興するスピードと合わせるように、菊池寛と「文藝春秋」は急速に立ち直った。大正13年4月号では発行部数2万部に達し、同年1月から4カ月分の利益総計1589円のうち700円を原稿料未払いの寄稿家に分配するという余裕まで生じた。
騎虎の勢いに乗った菊池寛は7月特別附録号の巻頭で「文藝講座」という新企画をぶち上げる。これは1カ月1円20銭なりの会費を納入すれば毎月2回講義録
ネアンデルタール人は生きている S・ペーボ
「人類」は、私たちホモ・サピエンスだけを指す言葉ではない。数万年前まで、地球上には複数の人類が共存していた。異なる人類同士は交流していたのだろうか。なぜ他の人類は消え去り、現生人類だけが生き残ったのだろう――。
絶滅した人類のゲノム(全遺伝情報)を解読することでそうした謎に迫ろうとしたのが、スウェーデン出身の遺伝学者、スヴァンテ・ペーボ博士(67)だ。2009年にはネアンデルタール人のゲノム
クジラを獲る男たち 山川徹
群青の海面に、エメラルドグリーンに発光する影が浮かび上がった。影は、うねりが残る海原を悠々と滑るように進んでいく。1頭のニタリクジラを、第三勇新丸が追走していた。ニタリクジラは、12メートルから13メートルほどに成長する大型のクジラである。
「森美術館」とSNS 洞田貫晋一朗
森美術館は、今年10月に開館20周年を迎えます。東京・六本木ヒルズ森タワーの最上層にある当館は、開館以来現代アートを中心に様々なジャンルの展覧会を開催してきました。私はマーケティング担当として、多くの人に来館いただけるような仕組みを日々考えています。
エマニュエル・トッドと私 堀茂樹
もともと文学畑の出身で、その視座から哲学や思想にアプローチしてきた私が、人類学者エマニュエル・トッドの仕事に関心を抱いたのは、1990年代にフランスの論壇における彼の特異なポジションに注目してからであり、彼と親しく話をするようになったのは、イラク戦争後の2005年〜10年頃である。