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武田徹 「シン」の意味を探る 新書時評

 日本語の接頭辞の仲間に最近加わったのが「シン」だ。発案者はアニメ映画監督の庵野秀明。『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン』のヒットで新しい用法をすっかり定…

「日本の保守とリベラル」宇野重規さんインタビュー 著者は語る

「思った以上に難しいテーマでした」

今月買った本 綿矢りさ

誰かの選んだ本

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レベッカ・ウラッグ・サイクス著、野中香方子訳「ネアンデルタール」

彼らも最新技術を備えた人間だった ホミニン(ホモ・サピエンス以外の絶滅した人類)というのは、どうにも気になる存在だ。初期のホモ・サピエンスは、きっと面白い体験を…

ミシェル・ビアール著、小井髙志訳「自決と粛清 フランス革命における死の政治文化」

「不逮捕特権」の歴史「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しな…

松浦寿輝「香港陥落」

美酒美食とシェイクスピア、そして戦争 小説の舞台は、第二次世界大戦勃発前の香港。戦争の近づく気配は濃厚ながら、香港はまだイギリス領である。そこで知り合った、元外…

武田徹 「シン」の意味を探る 新書時評

武田徹 「シン」の意味を探る 新書時評

 日本語の接頭辞の仲間に最近加わったのが「シン」だ。発案者はアニメ映画監督の庵野秀明。『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン』のヒットで新しい用法をすっかり定着させてしまう。

レベッカ・ウラッグ・サイクス著、野中香方子訳「ネアンデルタール」

レベッカ・ウラッグ・サイクス著、野中香方子訳「ネアンデルタール」

彼らも最新技術を備えた人間だった ホミニン(ホモ・サピエンス以外の絶滅した人類)というのは、どうにも気になる存在だ。初期のホモ・サピエンスは、きっと面白い体験をしたにちがいない。どこか知らない土地に旅して、そこで暮らす別の人類種と出会う。そのときどんなやり取りがあったのか。なかでもネアンデルタール人は別格の存在だ。最近(4万年前)まで生きていたのに、なぜか消えてしまった隣人には、そこはかとない悲し

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ミシェル・ビアール著、小井髙志訳「自決と粛清 フランス革命における死の政治文化」

ミシェル・ビアール著、小井髙志訳「自決と粛清 フランス革命における死の政治文化」

「不逮捕特権」の歴史「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない」。日本国憲法第五〇条だ。不逮捕特権の定めである。起源は大革命前後のフランスにあるだろうか。本書はそこを掘り下げる。誠実な研究である。

松浦寿輝「香港陥落」

松浦寿輝「香港陥落」

美酒美食とシェイクスピア、そして戦争 小説の舞台は、第二次世界大戦勃発前の香港。戦争の近づく気配は濃厚ながら、香港はまだイギリス領である。そこで知り合った、元外交官の谷尾、通信社勤務のイギリス人リーランド、香港の貿易商である黄。それぞれ40代、50代、30を少し出たばかりと年齢は異なるが、3人で会っては酒を飲み、おいしい料理を食べ、あれこれと語り合うのが習慣になっている。3人ともがシェイクスピアを

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