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文藝春秋digital

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『文藝春秋digital』2022年6月ラインナップ

■会員限定イベント●6月8日(水) ・新庄剛志「薬物使用」の過去 抜き打ち検査で「陽性」も、詳細は伏せられ、その年に引退―― 鷲田康(ジャーナリスト)+本誌取材班 ●6月10日(金) ・プーチンが最も殺したい男の告白 M・ホドルコフスキー(オリガルヒ・石油会社「ユコス」元代表)「ウクライナ侵攻は彼の個人的な動機から始まった」 ・「性暴力」私は負けなかった 卜田素代香(仮名)「暴行後『証拠が残るからシャワーを』と男が強いてきました」 ・新連載 外事警察秘録②「日本赤軍との闘い

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多くの友人に支えられて 早川浩(早川書房代表取締役社長)

文・早川浩(早川書房代表取締役社長) 今年の2月25日、こんなメールが届いた。「ロンドン・ブックフェアの国際生涯功労賞の審査委員会は、貴殿を満場一致で2022年の受賞者に決定したのでお知らせします。公式発表の4月1日まではご内密に。おめでとう」。まさに青天の霹靂だった。 知らせによると、本賞は世界の出版界に重要な足跡を残した個人を表彰するもので、2004年に制定。過去の受賞者はフランスの〈ガリマール〉社社長のアントワーヌ・ガリマール、アメリカ〈クノップフ〉社社長ソニー・メ

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27歳の副市長 及川涼介(裾野市副市長)

文・及川涼介(裾野市副市長) 今年4月、静岡県裾野市の副市長に就任しました。27歳の副市長は全国最年少。当時34歳の村田悠市長はよく「2人足しても61歳」と言っていました。都道府県知事や政令指定都市の市長の平均年齢が61歳であり、前例がないような若いコンビです。 私は東大法学部を卒業して総務省に入省。3年後、ベンチャー企業に転職して、自治体の行政デジタル化プロジェクトに従事していました。 それが今年1月末、初当選したばかりの村田市長から突然、副市長を打診されました。市内

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芥川賞にとりつかれた男 菊池良(作家)

文・菊池良(作家) 今年の1月に『タイム・スリップ芥川賞』という本を出した。博士と少年がいろんな時代を旅して、各時代の代表的な芥川賞作家に会いに行くという内容だ。日本の戦後史と文学史が同時に学べる画期的な本になったと思う。 芥川賞は日本で1番有名な文学賞で、受賞作が発表されると必ずニュースになる。しかし、高い知名度とは裏腹に、賞の実態はあまり知られていないのではないか。芥川賞は1935年からはじまり、90年近くつづいている日本最長の文学賞でもある。その長い歴史を一望できる

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福島かりんとう騒動記 糠澤正之(「ぬか茂菓子店」専務)

文・糠澤正之(「ぬか茂菓子店」専務) 「あのイギリス首相のジョンソンさんが、ですか?」 3月下旬、地元テレビの記者さんからの突然の電話に、思わず聞き返しました。ベルギーのブリュッセルで開かれた岸田首相との首脳会談の席に、ジョンソン首相が福島のかりんとうを持ち込んで、絶賛したことがネットで話題だというのです。 「フクシマ・ビスケッツ、アールグレイティー・フレイバー。サンキュー」 テレビで観たら、たしかにウチの商品でした。 私が、5代目社長の兄、6代目の甥と一緒に切りも

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消えるバッセン カルロス矢吹(ライター)

文・カルロス矢吹(ライター) 今年の2月に『日本バッティングセンター考』という本を上梓した。バッティングセンター(以下、「バッセン」と略す)は、日本では極めて一般的な施設だ。米国など、野球が盛んな国にもあることはあるのだが、あくまで練習施設として建てられている。日本の様に大衆向けの娯楽施設ではない。 なのに、メディアに取り上げられる時は「ホームランを打つおじいちゃん」など、お客さんしか取り上げられない。それなら、なぜバッセンは建てられ、そしてなぜ日本に定着したのか? その

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横尾忠則 三島由紀夫の心配ごと

文・横尾忠則(美術家) 『原郷の森』と題する3冊目の小説を文芸誌「文學界」で連載。500ページの単行本になって出版された。 Y(俺)が神明の森にあるアトリエの横の遊歩道を降りて行くと、そこは異次元の森に通じる「原郷の森」への入口になっている。ある日、アトリエで制作していたはずのYが、「ここは暗闇の森である」と描写されたあのダンテの『神曲』の森と重なっていることに気づく。 森の中で道に迷ったダンテをサポートするヴィルジリオ役を僕は宇宙霊人という人間を超えた存在に設定した。

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藤原正彦 器械嫌い 古風堂々38

文・藤原正彦(作家・数学者) この歳になって初めてスマホを購入した。10年ほど前に家族から「緊急連絡用に」と説得されケータイは持ったが、今回は家族に「スマホならどこでも調べものができる」と誘惑された。買って4ヵ月ほどたつが、まだ電話とメールがやっとという状態だから、ケータイと同じだ。息子や女房は旅先でも、どのレストランにしようかスマホで調べ、そこへの道案内までスマホにさせたりする。私が使い方を尋ねると、息子はさも面倒臭そうに、女房は「相変わらず無能ねえ」という顔で教えてくれ

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塩野七生 東京っ子の心意気 露伴、鷗外、一葉… 日本人へ226

文・塩野七生(作家・在イタリア) いかに漱石でもこのような想いは、親しい仲の鈴木三重吉にだけ書いている。 「死ぬか生きるか、命のやりとりをする様な維新の志士の如き烈しい精神で文学をやってみたい。それでないと何だか、難をすてて易につき、劇を厭ふて閑に走る、所謂腰抜文学者の様な気がしてならん」 これにはおおいに共感したので書き写して仕事場の壁に張りつけたのだが、漱石先生ちょっと大ゲサでは、とは思ったのだった。 しかし、大久保利通について少しばかり書いた今、大ゲサとは思わな

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ビッグマックとプーチンの戦争 佐々木正明(大和大学社会学部教授)

文・佐々木正明(大和大学社会学部教授) ソ連崩壊前後、モスクワ名物の一つと言えばマクドナルドだった。ジョージ・H・W・ブッシュ政権時代、アメリカの本社は1990年1月にモスクワの目抜き通りに1号店を作った。 共産党政権が崩壊したのはその1年11か月後である。人々は、「M」の看板の下で資本主義の味を求めて行列を作った。初日には氷点下10度にもなる極寒の中、5000人が並び開店を待ったという。 ビッグマック、フライドポテト、コカ・コーラのセットは当時の庶民にとって高嶺の花。

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椎名誠 フーテンのシェーン

文・椎名誠(作家) 野田知佑さんが亡くなった。突然の知らせなのでしばらく呆然とし、いろいろなことを思いだしていた。 まだアウトドアなどという気どった言葉が一般的じゃなかった頃にぼくは野田さんと九州のちょっとした川をカヌーで下っていた。ある場所で焚き火をしていると2人組がやってきた。野田さんとは知り合いらしかったがなぜかその場の空気が剣呑としてきた。 「遊び人! まだおるのか」 相手はそんな意味のことを殿様みたいに言った。 野田さんが立ち上がると2人はニワトリのように

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藤原美智子 生き方をメイクする

文・藤原美智子(ビューティ・ライフスタイルデザイナー) 42年前、ヘアメイクアップアーティストの仕事を始めた時から興味を持っていることがある。どのような状況の時、女性は幸せを感じるのだろう。どうしたら生き生きと輝くことができるのだろう、ということだ。 それを具現化できる方法の一つがメイクだ。私がその効果を目の当たりにしたのは、アシスタントに就いて初めて撮影に同行した時のこと。メイクを終えた女性が外見的に美しくなったのはもちろん、表情が自信に満ちたものへと変わり、瞳がキラキ

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田島征三 『た』という絵本を創った

文・田島征三(絵本作家) ぼくは22歳の時、手刷で自主制作の絵本、すなわち、自分で刷って自分で綴じた『しばてん』という絵本を11冊だけ創った。そのうちの1冊がイラストレーターの故和田誠さんの手に渡り、児童文学者の故今江祥智さんに届いた。その時までお名前も存じ上げず、お会いしたこともなかった今江さんが、その『しばてん』を電車の中で見て泣いてしまったという。ぼくは今江さんに感謝しきれないほど、お世話になったけど、それ以上に力をいただいた。ぼくの作品を観て泣くほど心を打たれる人が

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若林悠 風刺画が暴き出す近代史

文・若林悠(風刺画研究家) 2014年、ドイツのアマチュア作家が綱引きをモチーフに使った政治的風刺画を描き、インターネットにアップした。中央に黄色と青の旗が結ばれたロープをプーチンとオバマが全力で引き合い、どちらかというとオバマが引きずられている。その横では余裕の表情の習近平がロープにハサミを入れようとしている。ハサミを入れるとどちらもひっくり返るだろうが、描かれた手の位置で切るなら黄色と青の旗はプーチンが獲ることになる。 8年前のアマチュア作家は米露のどちらに正当性があ

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