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スープと現代|有賀薫

スープと現代|有賀薫

文・有賀薫(スープ作家)  きっかけは、朝に弱い受験生の息子だった。「起きなさい!」と叫ぶのに疲れ、ある朝めざましがわりに作ったスープがミラクルを起こす。息子がむくりと起きてきたのだ。それ以来、毎朝ずっと作り続けて、もう8年になる。「スープ作家」という冗談のような肩書きもそのまま、50を過ぎてスープの先生。予想外の人生を歩み始めた。息子はすでに社会人になり、家を出ている。  いざ仕事にしてみると、単においしいスープを作ればいいという話でもなかった。スープの定番といえば、ポ

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