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#東日本大震災

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明日5月31日、「文藝春秋digital」はクローズいたします。 これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。 先にもお知らせした通り、月刊文藝春秋のサブスクリプションは「文藝春秋 電子版」に一本化します。これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただいた皆さまには、突然のお知らせになったことを、改めてお詫び申し上げます。 「文藝春秋digital」のサービスが終了しますと、6月から皆さまに最新記事をお届けできなくなってしまい

柳田邦男 御巣鷹「和解の山」

悲しみでつながりあう人たちの物語。/文・柳田邦男(ノンフィクション作家) 喪失体験者のなかから 今年5月はじめのこと。 柔らかい春の陽射しをあびた深山の、巨石の転がる渓流に沿った急な登山道を登っていくと、両側の急斜面を埋める、天頂の白い雲を突き刺す白樺やコナラなどの枝先の開いたばかりの淡い薄緑のちっちゃな葉たちが、はしゃいでいるかのように煌めいて迎えてくれる。 ここ群馬県南西部の果て、御巣鷹山を包む新緑は、ここは天国ではないかと思えるほど、一点の濁りもない透明感が神々し

「南海トラフ地震はいつ起こるか?」専門家による最新研究

被害は東日本大震災の10倍! 首都直下地震、富士山噴火にも備えよ。/鎌田浩毅(京都大学名誉教授)×長尾年恭(東海大学客員教授)×中島淳一(東京工業大学教授) (左から)鎌田氏、長尾氏、中島氏 「大地変動の時代」鎌田 最近、首都圏で大きな地震が立て続けに起きているので、不安に感じておられる方も多いでしょう。昨年10月7日に千葉県北西部を震源とするマグニチュード5.9の強い地震が起きて、東京や埼玉の一部で震度5強を観測しました。東京23区内でこのレベルの揺れが観測されたのは、

西川美和 ハコウマに乗って13 めぐるあのはる

めぐるあのはる11年前の震災の時、私は実家のある広島に長逗留して小説を執筆していた。東京のアパートは食器が割れたり本棚が倒れたりとそれなりに散らかったが、本震の揺れと恐怖は体験していない。それは本来幸運なことなのだけど、帰宅難民になったりインフラの麻痺や原発爆発の渦中にある人々に比べて自分は、1人だけずるをして得しているような後ろめたさを感じていた。混乱と不安の渦巻く東京に帰る必要などないのに、帰らねばならないのではないか? と焦燥を募らせた。物書きとしてのジャーナリズム精神

2月の余震は1つの警鐘に過ぎない——「4つの大震災」が日本に迫っている|鎌田浩毅

地震、大火災、噴火、津波……。「密」をやめて被害を減らせ。/文・鎌田浩毅(京都大学大学院教授) <summary> ▶︎地球科学では「長尺の目」が必要とされる。その長尺の目で見ると、東日本大震災はまだ続いている ▶︎首都直下地震の問題は、強震動による直接被害だけではなく、複数の要因で巨大災害になること ▶︎富士山は若い活火山で、人間に置き換えてみれば小学生くらい。「育ち盛り」なので今後、必ず噴火する 鎌田氏 地球科学は「長尺の目」マグニチュード(M)9.0という地球でも

「除染」の除染|玄侑宗久

文・玄侑宗久(作家・僧侶) 東日本大震災による福島第一原発の事故以後、新たに世に出た日本語に「除染」がある。それまでは専門家しか使わなかったはずだが、今では哀しいことに誰もが知る言葉になってしまった。 ある辞書によれば、除染とは「被曝により皮膚や衣服や機器などに付着した放射性物質を取り除くこと」とあるが、おそらく多くの人々が思い浮かべるのは土壌の除染ではないだろうか。困難で長引くため、すっかり耳や目に馴染んできたはずである。 除染の基準を巡ってはいろいろと揉めた。もとも

大人になった『つなみ』の子どもたち——10年後の東日本大震災

小学校教師、看護師、3人の子持ち……あの作文を書いた子どもたちは、みんな成長した。/文・森健(ジャーナリスト) <summary> ▶︎震災から10年後のいま、彼らはどうしているのか。あの震災をどう思うのか。森氏は『つなみ』の子たちの現在を訪ね歩いた ▶︎当時小学生だった1人は、「いまの小学生はもう震災は知らない世代です。だからギリギリ覚えている僕らが伝えていかないといけないと思うんです」と語る ▶︎次の10年では、『つなみ』に書いた子たちの多くは地域を引っぱり、社会を動か

「まるでGHQだ」3・11のトモダチ作戦に隠れた攻防……その時米軍は「日本再占領」に動いた

トモダチ作戦に隠れた熾烈な攻防戦──10年後に明かされた驚愕の真実!/文・麻生幾(作家) ▶︎アメリカ軍は震災発生の直後から救助や生活支援の作戦を展開していた。だが、それとはまったく別のところで、密やかな“日米の熾烈な攻防”があった ▶︎「BCAT横田調整所」のチームは、日本がアメリカに統治される可能性について真剣に危惧していた ▶︎第7艦隊の作戦拠点である神奈川県・横須賀まで、部隊行動に影響があるほどの汚染が広がった場合を「重大決断」のタイミングだとアメリカ軍は認定した

あの日から10年 福島・大熊町「やすらぎ霊園」物語~骨だけでも故郷へ

「帰りたい」──。失われた町の人びとの最後のよりどころ。/文・葉上太郎(地方自治ジャーナリスト) <summary> ▶︎福島の大熊町は19年4月、避難指示が解除されたエリアに新しい町役場を建設し、町営墓地「やすらぎ霊園」を造成した ▶︎やすらぎ霊園に墓を建てた人々を追い掛けると、「被災者の10年間」が透けて見えた ▶︎大熊町には、骨になってしか帰れない。確かに現実はそうかもしれない。しかし、諦めない人々もいる 「帰れる土地」ができた 小山を切り開いた霊園に、冷たい風が吹

旬選ジャーナル<目利きが選ぶ一押しニュース>――三浦英之

【一押しNEWS】満州から帰還した3.11の被災者/9月20日、朝日新聞(筆者=柳田邦男) 私は今、東京電力福島第一原発から北30キロにある福島県南相馬市で暮らしている。廃炉を含めた復興取材の「最前線」だ。日々手探りのようにしながら原発事故で甚大な被害を被った人々や自治体を取材している。  東京電力の旧経営陣だった3人に下された無罪判決は、福島県で暮らす人々に大きな衝撃をもたらした。翌日の朝日新聞を開くと社会面に大きく、政府の事故調査・検証委員会の委員長代理を務めた柳田邦男

新天皇・雅子皇后の素顔「1人の女子高生が書いた手紙に」【全文公開】

陛下はお酒、雅子さまは生き物が大好き。ご出産秘話から御所の中の私生活まで……新天皇・皇后おふたりに接した人々が素顔を明かす。 文・釣巻洋子(元OECD東北スクール生徒) 「妃殿下(当時)にお手紙を書いてみませんか」  外務省関係者の方から、そんなご提案をいただいたのは2012年のことでした。当時、私は17歳。東日本大震災の復興を目的とした教育プロジェクト「OECD東北スクール」の生徒として活動していました。被災地出身の、1人の高校生に過ぎなかった私の書いた手紙が本当にお

新天皇・雅子皇后の素顔「フラッシュバックに怯える5人の娘と」

陛下はお酒、雅子さまは生き物が大好き。ご出産秘話から御所の中の私生活まで……新天皇・皇后おふたりに接した人々が素顔を明かす。 文・山本恵美(会社員)

元東京電力「炉心専門家」が決意の告発 福島第一原発は津波の前に壊れた

爆弾証言が飛び出した。福島第一原発が壊れた理由は津波ではない――。3・11から8年が経過した今、あの日、あの場所で何が起こっていたかを元東電の原子炉設計担当者が詳細な分析を基に明かした/文・木村俊雄(元東京電力・原子炉設計管理担当)