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#武田徹

100年後まで読み継ぎたい100冊 武田徹「人類が存続する限り」

文・武田徹(評論家・専修大学教授) 人類が存続する限り100年前に刊行されて自分に影響を与えた本がないかと探していたら、あった! ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』だ。 「世界は成立していることがらの総体である」「論理空間の中にある諸事実、それが世界である」……。概念を厳密に定義し、そこから論理的に導かれる命題を並べた断章集のような哲学書は最後に「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」に至る。論理の世界を疾走して言葉のない虚空へと突き抜けてゆくようなスピード感が大

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武田徹の新書時評 異文化を横断する技術

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 異文化を横断する技術スマホは、矛盾をはらんだ存在だ。人と人をつなぐための情報通信機器なのに、むしろ断絶を生み出しているのだから。 石川結貴『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)はスマホによって分断される親子関係を描く。スマホの先に広がる世界を知らない親は、SNSで知らない人とも抵抗なく交流する子どもの様子に恐怖を感じて子どものスマホを隠して逆ギレされたり、危険信号に気づけずに子どもを犯罪の被害者にして

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武田徹の新書時評 問われるメディアの役割

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 問われるメディアの役割市職員トップの年収が500万円からいつのまにか6400万円につり上げられていた——。2010年に米カリフォルニア州の地方都市ベルでそんな仰天の事実が発覚した。メディア論の教科書ではその原因が地元紙の休刊にあり、記者に監視されなくなった市職員が勝手放題をしたのだと説明されている。 しかし地元紙が健在だったら本当に不正は防げたのか。共著で『自壊するメディア』(講談社+α新書)を刊行した

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武田徹の新書時評 緑のニューディール

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。  緑のニューディール今夏も豪雨災害が日本各地で発生した。地球温暖化の影響が指摘されている。 温暖化は本当に起きているのか、温室効果ガスがその原因なのか……。明日香壽川『グリーン・ニューディール』(岩波新書)はこうした“懐疑論”を丁寧に論駁することから書き出され、温暖化防止のために再生可能エネルギーシフトを急がねばならない必要性を訴える。 しかし、その一方で経済活動の停滞も許されない。そこで再エネ利用の

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武田徹の新書時評 子どもたちの未来のために

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 子どもたちの未来のために安倍政権誕生以来の重点政策だった大学入学共通テストへの外部試験、記述式問題の導入は、実施に問題ありとしていずれも見送られる結果になった。こうした見通しの甘さは、未来の命運を握る教育を舵取りする上で致命的ではないか。 たとえば菅政権は「こども」と「デジタル」を看板政策とするが、確かな検証なくデジタル技術を教育へ導入すれば実効性を欠くどころか危険ですらあろう。その点、バトラー後藤裕子

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武田徹の新書時評|現代日本のメンタルヘルス

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 現代日本のメンタルヘルス新書はその名のごとく「新」知識の提供が使命だ。新しさは著者や編集者、つまりサプライサイドからの提案という場合もあるが、今回取り上げるメンタルヘルス系の新刊3冊は、そこに示される知識を強く必要としている社会状況があることを意識せざるを得ない。 一例をあげよう。日本のアルコール依存症は予備軍も含めれば2500万人に及ぶと言われる。にもかかわらず『あなたもきっと依存症』(文春新書)で原

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武田徹の新書時評|膠着語の新語・造語文化

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します 膠着語の新語・造語文化 外国人力士が増えている相撲界で、難なく日本語を操るモンゴル勢の姿を見て不思議に感じたことはないだろうか。 英語のようにI、My、Meと格変化したり、単複でI、Weと単語自体が姿を変える(屈折させる)インド・ヨーロッパ語族の言語を「屈折語」と呼ぶ。それに対して「私」という単語はそのままに「は」「の」「に」「たち」と語尾をくっつける日本語のような言語は「膠着語」と呼ばれ、フィンランド、

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武田徹の新書時評|異形の怪物の歴史

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 異形の怪物の歴史 サブカルに疎い人でもシリーズ完結作となる新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||』が公開され、話題を呼んでいる程度は知っているだろう。1995年にTVアニメとして最初の“エヴァ”が始まった時、敵キャラの“分かりにくさ”が鮮烈な印象を残した。それまでの特撮やアニメに登場する敵は人間と似た姿で、宇宙から来たはずなのに日本語を話したりするが、エヴァでは意志の有無どころか生物かどうかも不明な、

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武田徹の新書時評| “人間という管”の入口と出口

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。  “人間という管”の入口と出口  「人間は、しょせん一本の管である」と書いたのはエッセイストの山口瞳だった。確かにいかに金持ちでも才人でも食べては排泄を繰り返す“食物の通り道”として一生を終えることに変わりはない。 しかし、その“管”は実はなかなかのものらしい。辨野義己『「腸内細菌」が健康寿命を決める』(インターナショナル新書)によれば、腸内では1000種類にも及ぶ細菌が活動し、消化吸収を助けるだけでな

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武田徹の新書時評|戦後民主主義と今日の民主主義

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 戦後民主主義と今日の民主主義 次々に難題に見舞われる日本社会では過去が刻々と風化してゆく。たとえば安保関連法制反対デモが国会前で展開された2015年、学生集団SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が注目された記憶も既に薄れがちだ。 政治団体に所属する学生から既存勢力とは無関係に貧困や性暴力問題の解決を目指す学生まで偏りなく取り上げた小林哲夫『平成・令和 学生たちの社会運動』(光文社新書)のな

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武田徹の新書時評|専門家に委ねてはならない「原子力」

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 専門家に委ねてはならない「原子力」菅義偉首相は就任後の所信表明演説で2050年までに脱炭素社会を目指すと述べた。気になるのは実現の方法だ。経済活動の規模を維持しつつ炭素排出量を大幅に減らすには原発の利用が現状では有力な選択肢とならざるをえないが、東日本大震災後、原発に関しては賛否が厳しく対立している。政府は原子力をどう使うつもりなのか。その利用範囲を軍事にまで広げる野心がもしあれば話は安全保障にも及んで更

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武田徹の新書時評|音楽と社会のあり方を考える

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 2020年はベートーヴェン生誕250年に当たり、新書でも関連書が揃った。 中野雄『ベートーヴェン』(文春新書)は罵声と殴打で息子を鍛えた父など家族の紹介から始まり、名曲『英雄』『運命』も初演では失敗続きだった天才音楽家の多難な人生を辿る。モーツァルトとのニアミスや聴覚障害についてのエピソードも興味深い。 浦久俊彦『ベートーヴェンと日本人』(新潮新書)は日本独特のベートーヴェン受容がテーマだ。音楽取調所

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コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 戦争・五輪・コロナ|武田徹

矢継ぎ早に刊行されたコロナ関係書の中では山内一也『ウイルスの世紀』が白眉だった。新型コロナウイルスに関する記述はそう多くはないが、日本を代表するウイルス学者が過去の研究や感染症対策史について書いてきた蓄積と接続されることで、歴史的な遠近感の中で現在のコロナ禍を顧みられる。 SARSなど過去の感染症経験を生かして対策を構築していた国は新型コロナに勝利し、日本を含めてそうではない国は無残に失敗している。歴史から学ぶ真摯さの欠如こそ感染症に対する最大の脆弱性となることが本書を読む

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武田徹の新書時評|過渡期にあるアメリカ

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 この稿が読まれる時には第46代米国大統領が決まっているはずだ。だが、現職トランプ勝利で更に加速度をつけるか、民主党が政権奪還して別方向に切ろうとする舵に抵抗する惰性として残るかの違いこそあれ、米国の現勢がその未来に影響を及ぼすことはまちがいない。そこで今回は大統領選後の米国を考えるうえで役立つ、アメリカの現在を確かに描き出す新書3冊を選んでみた。 渡辺靖『白人ナショナリズム』(中公新書)はトランプ政権の

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