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#今月買った本

『文藝春秋digital』2022年6月ラインナップ

■会員限定イベント●6月8日(水) ・新庄剛志「薬物使用」の過去 抜き打ち検査で「陽性」も、詳細は伏せられ、その年に引退―― 鷲田康(ジャーナリスト)+本誌取材班 ●6月10日(金) ・プーチンが最も殺したい男の告白 M・ホドルコフスキー(オリガルヒ・石油会社「ユコス」元代表)「ウクライナ侵攻は彼の個人的な動機から始まった」 ・「性暴力」私は負けなかった 卜田素代香(仮名)「暴行後『証拠が残るからシャワーを』と男が強いてきました」 ・新連載 外事警察秘録②「日本赤軍との闘い

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橘玲 今月買った本 国家と歴史戦

国家と歴史戦「ウクライナをファシストから解放する」という名目で、ロシアは無謀な侵攻を開始した。だがプーチンは、いまや世界から「ファシスト」と批判されている。だとしたら、「ファシズム」とはいったい何だろうか? 『ファシズムとロシア』は、気鋭の歴史学者がこの問いに挑んだタイムリーな本。ソ連崩壊後、ロシアと新たに誕生した民族国家(新東欧)のあいだで「歴史戦」が勃発した。「ナチスとスターリンのソ連は同じ」という新たな歴史観へのロシア国内の反発が、現在の事態の背景にある。 『ウクラ

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「ロシアの暗黒史」手嶋龍一 今月買った本

ロシアの暗黒史ウクライナで残虐な戦争を続けるプーチンにとって最大の権力基盤であるFSB(連邦保安庁)でいま異変が起きている。ロンドン・タイムズ紙はウクライナの諜報を担うFSB第五局の150人が職を解かれ、ベセダ局長は先々月自宅に軟禁された後、収監されたと報じた。短期でウクライナ制圧は可能だと分析したFSBの報告がプーチンの判断を誤らせたとして責任を問われたのだろう。 情報コミュニティに精通するロンドン・タイムズ紙は、今回の追放劇を1930年代の惨劇にダブらせて“スターリン流

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綿矢りささんが今月買った10冊の本 吉本ばなな、みうらじゅん、五木寛之…

銅像と偶像お仕事の関係で読む本が増えてくると、自分が本当に読みたい本ってなんだろうと分からなくなる。小説家になる前は好きな本ばかり読んでいて、自然な関心がわき、途切れることなく読みたい本が出てきた。今は自分の中の衝動からではなく、外部からの発注で読み始めることが多い。昔よりだいぶ受け身になったなと思いつつ、これホンマ読んでよかったわと心から思える本も多く、本との出会いにもご縁ってあるんだな、とシミジミ。『まど・みちお詩集』もそのうちの一つで、肩肘をはって暮らす私が見逃していた

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橘玲さんが今月買った10冊の本

進化と承認 行動経済学を創始したダニエル・カーネマンは、市場参加者の判断・行動に一定の歪みがあることをさまざまな独創的な実験で示し、「合理的経済人」の前提を覆したことで、心理学者としてはじめてノーベル経済学賞を受賞した。 『NOISE』ではそのカーネマンらが、合理性を蝕む要因として、バイアスよりもさらに大きな「ノイズ」の存在を論じる。ノイズは判断のばらつきのことで、仮にすべてのバイアスをなくしたとしても、昼食の前か後かのようなちょっとしたちがいで、同じケースに異なる決定が下

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本上まなみさんが今月買った10冊の本

雪山とガラパゴス諸島『新版 雪に生きる』は1943年刊行の新装復刊版。帯には〈日本スキーの草分けにして、山小屋のセルフビルド、靴下編みの発明まで何にでも知恵と工夫と情熱で挑んだ、猪谷六合雄の生活記録〉とあります。靴下編み? 不思議な文言に惹かれます。 23歳でスキーを始めた著者の初めてのスキー板は〈お風呂の中へ突っ込んだり、石油の空罐で茹でたりして〉自宅にあった板を曲げてこしらえたという自作! 冒頭から雪上を滑る楽しさに目覚め、仲間と出会い、スキージャンプに魅せられ…という

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手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

名品が詰まった福袋最近の出版界には好もしい潮流が見られる。いまいちど読み返してみたい、これまで読まずにいた、そんな名品をアンソロジーや選集に編んで次々と文庫化するようになった。 新しい著者が手がける新刊は未知の魅力に溢れている。だが、期待を裏切られることも珍しくない。その点、時の風雪に耐えて生き残った著作には、故宮博物院やルーブル美術館の収蔵品を鑑賞するような信頼感がある。しかも、決まって新たな発見がある。開高健の『葡萄酒色の夜明け』や『金子光晴を旅する』といった文庫本は、

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綿矢りささんが今月買った10冊の本

中華ファンタジーに夢中 『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』は佐藤先生の切れ味の鋭い血気盛んなエッセイ集。『九十歳。何がめでたい』と変わらない威勢の良さだが、戦争への追憶や人間の一生への寂寥感もにじむ。作中に断筆宣言もあり、その理由は当然納得できる内容だったけど、愛読者としてはただたださびしい。読んでいると元気づけられるだけでなく、100年が間近に迫る生のずっしりした荘厳さも感じる作品。 『あなたにオススメの』は2編の短編が収録されているが、どちらもザクザク直接脳に突き刺さる

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本上まなみさんが今月買った10冊の本

非日常の世界探検冒険。非日常の世界を、家に籠もりきりの私は足踏みするほど渇望していました。数々の探検記を上梓する椎名誠氏は大の「漂流記マニア」だそうで、今作『漂流者は何を食べていたか』では14冊を取り上げ、その魅力を綴っています。 船底を破るクジラやシャチ、嵐による高波。強烈なアクシデントに見舞われながらどうして助かるの? とまずは彼らの強運に驚き、さらにトビウオ、シイラがボートに飛びこんでくる、ウミガメが寄ってくる、海鳥が羽根を休めにくるなど、一瞬のチャンスを確実に手中に

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綿矢りささんが今月買った10冊の本

長寿の秘訣 『房思琪(ファンスーチー)の初恋の楽園』は他の方が推薦本として挙げているのを見て、読んでみたが、記憶に傷がつくほどの衝撃を受けた。学校の教師からかなり悪辣なやり方で手を出されている少女が、錯乱する時点から話が始まり、過去を語りながら悲しみを遡っていく構成だった。同情心を盛り込んで描けばここまで辛くないと思う場面を、極限まで突き放して嘲笑するレベルまで持って行ったからこそ、読んでる方も身を切るほど悲しい。 きつい、と同時に美しい。読んでるだけで情緒がバリバリに砕け

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橘玲さんが今月買った10冊の本

よりよい世界古来、自らの手で「よりよい世界」をつくろうとした者は枚挙にいとまがないが、そのほとんどは悲惨な結果を招いた。 だがいま、人間の不合理性を前提にしたうえで、合理的に社会をデザインしようとする新しい“ユートピア思想”が台頭している。自由市場経済と共産主義(私有財産の否定)を合体する『ラディカル・マーケット』は、このメカニカル・デザインの最先端。話半分としてもきわめて魅力的で、近年、もっとも知的好奇心を刺激された一冊。 「知識社会における経済格差は“知能の格差”の別

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本上まなみさんが今月買った10冊の本

大切な“日常” 『グレゴワールと老書店主』は老人介護施設で働く18歳の青年グレゴワールが主人公。入居者の元へ配膳をする仕事中、3000冊もの蔵書に囲まれて暮らす老書店主と出会います。 母子家庭育ち、読書の習慣などなかった青年は、視力の衰えで読書が叶わなくなったという店主の話を聞き、朗読役を買って出ることに。 著者は朗読家で、本書が作家デビュー作とのこと。朗読作品の選び方、聞き手との距離の置き方や、文学を声で表現する極意を、老書店主に豊かに語らせるのです。〈人前で本を読むの

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手嶋龍一さんが今月買った10冊の本

量子暗号が世界を支配する われわれの頭上に「墨子」がいて、情報世界の覇者として君臨している――その事実をどれだけのひとが知っているだろう。2016年8月、中国は量子科学衛星「墨子」を世界に先駆けて打ち上げた。最先端の量子暗号システムを備えて盗聴・傍受を封じ、軍事・金融分野での極秘通信を可能とした。まさしく「21世紀のスプートニク・ショック」だった。冷戦期に人工衛星の打ち上げでソ連に先んじられたアメリカは直ちに反転攻勢に出た。だが「トランプのアメリカ」は手を拱いて中国の独走を許

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森絵都さんが今月買った10冊の本

語られない記憶 時々、飲み会の席などで「自分の人生は小説になる。ネタにしてもいいよ」みたいなことを言われることがあるけれど、今のところネタにさせてもらったことはない。真なる小説の種は、人々が秘して語らない記憶の中にこそ潜んでいる気がする。 長編小説『十の輪をくぐる』は、病を機に意識が朧になった母・万津子がひた隠しにしてきた過去を、58歳の息子・泰介が追う話だ。万津子の呟き「私は……東洋の魔女」は何を意味しているのか。若くして夫を亡くした彼女は、2人の幼子を抱えた身でなぜ寄る

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