文藝春秋digital

「文藝春秋」表紙の言葉――松村公嗣【全文公開】

「雪椿」  かれこれ20年近く前のスケッチから描きおこしました。月日が経てど季節毎に思い出すことは変わらないものです。金沢の旅館で見た椿で、雪深いこの地域でも耐える強靭な枝と花が魅力的です。早咲きは秋頃から咲き始め、たくさんの蕾で春まで長く楽しませてくれます。その生命力から邪気を払…

「文藝春秋」表紙の言葉――松村公嗣【全文公開】

「雪の大仏殿」  私にとって東大寺は幼少期から何度も訪れていた、とても身近な場所です。お堂の中にはいつも「だいぶっさん」が休んでおられます。当時、この巨大な構造物に鍍金するためには大量の金と水銀が必要とされました。大陸から伝わる技術を最大に活かした輝きは今でも保たれています。  …

「文藝春秋」表紙の言葉――松村公嗣【全文公開】

「飛翔」  釧路湿原には毎年取材で通っていた時期があります。耳がちぎれそうな極寒の地で、丹頂鶴は毎年越冬の準備のために釧路地域に集まります。白と黒の単純な色調の大きな翼を羽ばたかせ、丹色(にいろ)の頭を器用に動かしていました。一度夫婦になると子育ては2羽で懸命に行い、一生添い遂げ…

「文藝春秋」表紙の言葉――松村公嗣【全文公開】

「文藝春秋」の表紙画を手掛ける日本画家の松村公嗣さんが絵に込めた想いを明かします。 「舟唄」  勤務先の大学研修で欧米を3カ月程かけて一人旅をしました。美術館を巡り、イタリアのベニスで過ごす最後の日でした。次のフィレンツェへ出発する準備を終えてから、名残惜しく橋の上の眺めを焼きつ…