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スターは楽し ソフィア・ローレン|芝山幹郎

スターは楽し ソフィア・ローレン|芝山幹郎

自生した果実の「無敵」ジーナ・ロロブリジダ、シルヴァーナ・マンガーノ、ソフィア・ローレン、クラウディア・カルディナーレ。第二次世界大戦後、イタリアからは豪快な……もとい、豪華なスターが続々と登場した。 いや、「豪快」と呼ぶほうが、むしろ適切かもしれない。見た目の華やかさはいうまでもないが、彼女たちは、肝っ玉の据わり方が尋常ではなかった。 なかでもソフィア・ローレンの迫力は圧倒的だ。10代の私は、スクリーンの彼女を見て無敵だと思った。 174センチの長身。力強く突き出た胸

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スターは楽し 小林 旭|芝山幹郎

スターは楽し 小林 旭|芝山幹郎

小林旭 通俗を突き破る一本気 顔を見てすぐに声を思い出すスターは数多い。ハンフリー・ボガート、マリリン・モンロー、三船敏郎、若尾文子……。 だが、名前を聞いて、顔より先に声を思い出すスターは意外に少ない。真っ先に浮かぶのは、ダース・ヴェイダーの声で知られるジェームズ・アール・ジョーンズだが、日本にも圧倒的な声の力を持ったスターがいた。 小林旭だ。 小学生だったころ、私や近所のガキどもは、声を張り上げてアキラの歌を合唱していた。最初はたしか〈ダイナマイトが百五十屯〉

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スターは楽し マシュー・マコナヘイ|芝山幹郎

スターは楽し マシュー・マコナヘイ|芝山幹郎

マシュー・マコナヘイ ©Billy Bennight/ZUMA Wire/共同通信イメージズ 不敵で超然として日本ではマシュー・マコノヒーと表記されることが多いが、この人の名前の発音は「マコナヘイ」に近い。予告篇やアカデミー賞授賞式の映像を見ながら、ちょっと耳をすましてみれば気づくはずだ。修正したほうがよいと思う。 それはさておき――。 マシュー・マコナヘイは、大股の歩みを止めない。デビュー作『バッド・チューニング』(1993)で、不思議なスケールの大きさを感じさせ

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コロナ自粛を吹っ飛ばす「厳選10本」 本気で笑える映画、泣ける映画

コロナ自粛を吹っ飛ばす「厳選10本」 本気で笑える映画、泣ける映画

おこもりシネマで爆笑して大泣きしてストレスを発散しよう。/芝山幹郎(評論家・翻訳家) <summary> ▶︎コメディ映画を見て笑うことで、心が修復されることがある ▶︎大泣きするのもいい。心が浄化されます。ただし、しくしく、めそめそ泣くのは身体に悪いので、わんわん泣くほうがいい ▶︎他人の目にそこまで縛られるぐらいなら、頭を空にしてコメディを見たり、泣ける映画を見たりしているほうが、人生楽しくなる 芝山さん 映画で心身を活性化 いま「コロナ鬱」という言葉があるくらい

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スターは楽し ジム・キャリー|芝山幹郎

スターは楽し ジム・キャリー|芝山幹郎

ジム・キャリー ©AF Archive/Universal/Mary Evans Picture Library/共同通信イメージズ ナンセンスが噴火する 1990年代の中盤、ジム・キャリーが噴火した。爆発というより噴火。一過性の破裂ではなく、溶岩の連続的な噴出。94年だけでも『エース・ベンチュラ』、『マスク』、『ジム・キャリーは Mr.ダマー』とヒット作が3本公開され、そのあとには、『ライアーライアー』(1997)がつづいた。止まらない感じがした。 これはなんだ?

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スターは楽し「アンナ・カリーナ」|芝山幹郎

スターは楽し「アンナ・カリーナ」|芝山幹郎

アンナ・カリーナ(写真・ROGER_VIOLLET) まぶしく弾けるソーダの泡 ダークヘア、ややぱらついた前髪、濃いアイライン、ニーソックス、格子柄のベレー。そして、牝鹿のような眼。 アンナ・カリーナの顔や姿は、すぐに浮かび上がる。記憶を遡るまでもない。 1960年代、カリーナの名を聞くだけで浮き足立ったガキは、私も含めてそこらじゅうに転がっていた。ゴダールとカリーナ。そう、ジャン=リュック・ゴダールとアンナ・カリーナは、当時最強で、最もクールなカップルだった。

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スターは楽し エディ・マーフィ|芝山幹郎

スターは楽し エディ・マーフィ|芝山幹郎

エディ・マーフィ 「複数の色彩」という鉱脈 見終わった直後は、「エディ・マーフィが、久しぶりに鉱脈を見つけたな」という程度の印象だった。 ところが、妙に舌に残る。面白さがじっくりと煮込まれていて、後味がよい。舞台になった1970年代のロサンジェルスを、私自身が思い出したためだろうか。あの時代特有の「楽しい猥雑さ」や「笑えるはしたなさ」がそっくり再現されていたのは望外の収穫だった。いまの私は、『ルディ・レイ・ムーア』(2019)に奇妙な愛着さえ覚えている。 ムーアは

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スターは楽し 吉永小百合|芝山幹郎

スターは楽し 吉永小百合|芝山幹郎

吉永小百合 「ふん」に託された陰翳 吉永小百合のことを書くとは思っていなかった。この人の魅力はよくわからない、嫌いだと思ったことはないが、結局は縁のない人だ。そんな気持を、私はずっと抱きつづけていた。 そんなわけだから、世間が騒いでも、気分は醒めたままだ。サユリストという流行語にもぴんと来ない。おまえの眼が節穴だからだ、となじられようが、あ、そうですかと聞き流すだけだった。 きっかけのひとつは、コロナ禍だったかもしれない。ウイルス感染に対する恐怖や不安、経済活動に

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スターは楽し ソン・ガンホ |芝山幹郎

スターは楽し ソン・ガンホ |芝山幹郎

ソン・ガンホ ©Penta Press 重喜劇が似合う妖怪 ソン・ガンホに似た俳優はいるのだろうか。見た目はともかく、体質の近い役者はいるのだろうか。アカデミー賞4冠に輝いた『パラサイト 半地下の家族』(2019)を見て、私はそう思った。 ソンはこの映画を支えた主演俳優だ。映画自体が2重底3重底のつくりだが、ソンの芝居も容易に底を割らない。1967年に韓国の慶尚南道金海市で生まれているから、年齢はそろそろ50代半ばだ。ダシの利いた味が深まっている。 イーライ・ウォ

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スターは楽し モーガン・フリーマン|芝山幹郎

スターは楽し モーガン・フリーマン|芝山幹郎

モーガン・フリーマン 濁りを恐れぬ受けの芝居 「あの娘は、自分がゴミだという事実だけを思い知らされて生きてきた」 名作『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)の序盤で、ひやりとするナレーションが聞こえる。 声の主は、モーガン・フリーマンが扮するスクラップという元ボクサーだ。スクラップは、うらぶれたボクシング・ジムに住み込んで雑用係をしている。ジムのトレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)は、かつてスクラップのセコンドを務めていた。タオルの投入が遅れたばか

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