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ホテルオークラと3つの五輪――村上勝彦

ホテルオークラと3つの五輪――村上勝彦

文・村上勝彦(大倉文化財団理事長・東京経済大学名誉教授)  ホテルオークラ東京のロビーには、一切の絵画がないことをご存知だろうか。  麻の葉文様の木組や、切子玉を連ねたような照明、梅花の5弁を象った椅子とテーブルなど、モダン建築の粋を集めたデザインは、創業以来、建替えを経て今年9月にオープンした新しいロビーでも寸分たがわず復元されている。  だが、絵画はない。創業者・大倉喜七郎の「ホテルの建物そのものを芸術品にせよ」という信念によるものだ。  大倉財閥の2代目である喜

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