エルンスト・H・ゴンブリッチ著 中山典夫訳「若い読者のための世界史 改訂版」
美術史家が語る歴史物語 もう13年もまえのことになるが、『楽園のカンヴァス』の執筆取材のためにパリに長逗留したことがある。そのとき、スーツケースに詰め込んで持って行ったのがエルンスト・H・ゴンブリッチの『美術の物語』。人類と美術が足並みをそろえてともに発展してきた1万年以上にも及ぶ長大な美術史を展観する名著だ。何しろ長い長い歴史の本だから重量が半端なく、海外へ持ち運ぶのにはまったく向かない本だったが、どうしても持って行きたかった。なぜかといえば、私が仮寓に定めたアパルトマンは