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自著映画化始末――南木佳士

自著映画化始末――南木佳士

文・南木佳士(作家・医師)  昭和が終わる年の1月に第100回芥川賞を受賞した。すると、すぐに映画化の話が持ち込まれた。自作が映画になるなんて夢のようだな、と素直に喜んだ。大手映画会社のプロデューサーや脚本家と信州の貧相な病院住宅で会い、妻の手料理と地酒でもてなし、主演女優はだれがいいか、などと盛り上がった。その後、脚本は完成したが、撮影開始の話はいくら待っても来ず、やがてこちらも地方勤務医の医業に加えてプロとしての小説書きの無理がたたり、心身絶不調の状態に陥った。  こ

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