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俳句|黒田杏子

俳句|黒田杏子

句友柳家小三治師匠と電話会談 108分 受話器より噺家のこゑ月今宵 語ること語りたきこと月真澄 月高く本音本心惜しみなく 話芸これは話術ではない月真如 結局は心なんだよ月天心    「東京やなぎ句会」例会日 忘れ得ぬ十七日の月の句座 噺家になつてよかつた今日の月 (2020年9月号)

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黒田杏子さんのおふくろの話。

黒田杏子さんのおふくろの話。

著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、黒田杏子さん(俳人)です。 無名の俳人  母のこゑ節分草の咲くころね 杏子  母は95歳で亡くなるまで、句作に打ち込んでいた。私には姉兄妹弟が居て、私はその真ん中の5人きょうだい。  私たち夫婦には子供が居ない。広告会社に60歳定年まで在籍させてもらった私は、母とよく旅に出た。京都に桜を訪ね、「風の盆」の八尾に泊まり、節分草や片栗の花を訪ねて山奥の村まで行ったりした。父は開業医で、東京大空襲で焼失した東京本郷の家から

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