文藝春秋digital

キーン先生の孤独|小池政行

文・小池政行(青山学院大学法科大学院客員教授) ドナルド・キーン先生に初めてお会いしたのは、筆者が在フィンランド日本大使館の文化担当官の時、外務省の依頼でポーランド、当時のソ連、そしてフィンランドの講演にいらした時であった。コロンビア大学東洋学部の中心教授として多忙な日々を送られ…

数字の科学 地球の公転周期|佐藤健太郎

サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。 今回の数字:地球の公転周期=365.24219日 今年2020年は、4年に1度のイベントが多く重なる年だ。西暦の年号の数字が4で割り切れる年は閏年であり、アメリカ大統領選が行なわれ、オリンピックが開かれる。だ…

世界経済の革命児 重光武雄(ロッテグループ創業者)|大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、重光武雄(Takeo Shigemitsu、ロッテグループ創業者)です。 重光武雄 ガムから石油まで牛耳った稀代のマーケター 日韓「ロッテグループ」の創業者、重光武雄名誉会長(韓国名:辛格…

スターは楽し「アンナ・カリーナ」|芝山幹郎

アンナ・カリーナ(写真・ROGER_VIOLLET) まぶしく弾けるソーダの泡 ダークヘア、ややぱらついた前髪、濃いアイライン、ニーソックス、格子柄のベレー。そして、牝鹿のような眼。 アンナ・カリーナの顔や姿は、すぐに浮かび上がる。記憶を遡るまでもない。 1960年代、カリーナの名を聞くだけで…

稲泉連さんのおふくろの話。

著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、稲泉連さん(ノンフィクション作家)です。 サーカスで働いた理由 母は周囲からいつも、行動が唐突な人だと言われてきたらしい。確かに数年前も突然、「私は那須で暮らすことにした」と言い出し、同世代の知人が共同生活を営む高齢者向けサービ…

船橋洋一の新世界地政学 地経学の時代

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。 米中両国は、先月、貿易協議で第1段階の合意にこぎつけた。トランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争は今回、とりあえず休戦に持ち込んだ形である。 しかし、米国は5Gをめぐるファーウェイ(華為技術)…

新しい血|東山彰良

文・東山彰良(作家) 今年1月11日に行われた台湾総統選挙では、大方の予想通り民進党・蔡英文が再選を果たした。820万票を集めての圧勝だった。 対立候補の国民党・韓国瑜は「安全でお金持ちの台湾がいいか、危険で貧乏な台湾がいいか」と民衆に問いかけた。台湾独立を主張する民進党が勝てば中国が…

主役は君たちだ|相良南海夫

文・相良南海夫(早稲田大学ラグビー蹴球部監督) 国立競技場を満員にした約5万7000人の観衆の前で、優勝したときにだけ歌うことのできる部歌「荒ぶる」を唱和する――1月11日、ピッチで私は感無量でした。11季ぶりのラグビー全国大学選手権の優勝、その上、昨年準決勝で敗退した宿敵の明治大学を跳ね…

国立競技場と法隆寺|隈研吾

文・隈研吾(建築家) 1964年の秋、10歳の僕は、父に連れられて、オリンピックの水泳会場であった国立代々木競技場に行った。あまりの美しさに圧倒され、「誰がデザインしたの」と尋ねた。「丹下健三という建築家だ」と聞いて、建築家という仕事をはじめて知り、その日に建築家というものになろうと決…

藤田嗣治とバレエ|芳賀直子

文・芳賀直子(舞踊史研究家) バレエと聞いて思い出すのは全幕作品、それも『白鳥の湖』という方も多いのではないでしょうか。 『白鳥の湖』が日本で初演されたのは終戦翌年、1946年の事でした。日本における全幕公演こそがバレエであるという感覚、町の小さなバレエ学校でも全幕上演を目指す姿勢は…