文藝春秋digital

俳句|日下野由季

俳句|日下野由季

銀漢短夜の背丈違へて姉弟 銀漢や産み終へてわれ身ふたつに 遠花火胸の高さに子を抱きて 揺れてゐるのは揺籃かペガサスか 上の子が寝れば下の子起きて秋 いなびかり注射の腕持ち歩く 秋澄むや星のごとくに人と人

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俳句|木田智美

俳句|木田智美

その葉梅雨曇デッサンにパン配られて 文鳥のさらりと乾く桜桃忌 バター焦がすにおいに目覚め扇風機 白百合や未来を記すガラスペン レース模様浮いて九月の醤油皿 秋茜かばんの肩掛けのねじれ バイク屋に無花果の熟れその葉裏

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俳句|星野いのり

俳句|星野いのり

疼痛蔦青し旧姓に押す訂正印 捨てらるる音あかるしやラムネ瓶 右肩に義手の重さよ雲の峰 白玉や遅刻の人にまた話し 古書店の長居に麦茶出されをり コンビニの弁当浅き溽暑かな 疼痛や向日葵畑枯れ始む

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俳句|須川久

俳句|須川久

梅雨の底神鏡の曇りて映る梅雨の底 実梅落つ神狐威厳の耳を立て 十薬や遺産分割手続きす 蛇苺踏めば堅気でなき匂ひ クレヨンにほのかな熱のある皐月 黒南風(くろはえ)や一対一の調味料 ところてん見送るなんて苦手だわ

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俳句|神野紗希

俳句|神野紗希

0と1燕だね転校生の標準語 陽炎を煮詰めてびいどろの小鳥 おさなごのつむじ・星雲・ライラック 指に蟻這わせて「君んちに泊めて」 0と1白く四角く涼しく壁 海獣に星読む視力みなみかぜ 起きて食べよ光こぼして黒揚羽

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俳句|岡田由季

俳句|岡田由季

雉スピードの出てゐて窓に雉見えて 橋脚に水位の表示鳥の恋 先端は龍の勢ひ豆の花 ブロッコリー犬も夫も食べ残す 穴すぐに塞がつてゐる花筏 虚空よりあらはれて雉ずつとゐる 自宅から土筆の範囲にて暮らす

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俳句|赤野四羽

俳句|赤野四羽

春の挽歌花吐きの少年下唇涎引く 春菊を噛むや真白き帯の内 永日をチヨコレイトと響く寺 血は水よりしょっぱいぞ蕗のとう 街中の正気を洗う春時雨 花が死へ換わる湿りの滑かな 浅川マキの残滓を啜る朧月

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俳句|関悦史

俳句|関悦史

首・数字・春如月の駅軍服の男ゐる 来世また瓦礫と会はん春の雨 三・一一 三・一四一五九二六…… 龍天に登るその背に眼鏡の女性 人類平均睾丸一個万愚節 おのが首取れ接ぎなほす春の夢 春の昼一億の首消え残る

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俳句|岡田一実

俳句|岡田一実

峰巒水音がひかりと見えて枯芒 水の面の落葉の層のほぐれくる 午後の日を鋭(と)き鳥ごゑや山眠る 餅搗の音に峰巒(ほうらん)のたたなづく 読初の文字の四角く組まれをり 寒禽の屢(しば)鳴く嘴の夥し 日脚伸ぶ手指を隈なく濡らす度

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俳句|山田耕司

俳句|山田耕司

さるぐつわ数へ日をバターぼんやりパンに溶け 人さまに殺されてゐる昼の咳 休憩終了つめたき紙に飴を吐き 矢印のままに地下へと人の冬 ゆく年の耳なら咬んでいいですか 淑気かなマスクの列に猿轡 をぢさんのおつぱい豊かなり初湯

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