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「五輪強行」科学は政官に歪められた|辰濃哲郎

「五輪強行」科学は政官に歪められた|辰濃哲郎

専門家たちの警告を骨抜きにしてきたこの国の権力中枢――。/文・辰濃哲郎(ノンフィクション作家) パンデミックにおける専門家 どうやら、東京五輪・パラリンピックに突入しそうだ。専門家の五輪におけるリスク評価発言に対して、閣僚から「自主研究」「別の地平」の批判が飛んでいた。そもそもパンデミック時の政策決定システムを紐解くと、これら政治家の発言がいかに稚拙なものだったかが、よくわかる。専門家集団が旧態依然とした政官を向こうにもがいてきた1年半を振り返ってみると、次なるパンデミック

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「インド株『水際対策』不徹底が第5波を招く」コロナ第4波「菅官邸の陥穽」|小林慶一郎

「インド株『水際対策』不徹底が第5波を招く」コロナ第4波「菅官邸の陥穽」|小林慶一郎

文・小林慶一郎(慶應義塾大学教授) 小林氏 (1)日本の「危機管理」は進化したのか6月20日をもって東京都の緊急事態宣言を解除していいのかどうか。政府から諮問を受ける基本的対処方針分科会メンバーの一人としては、本当に迷いましたし、難しい判断だったと思い返しています。 分科会があったのは17日木曜日の午前中でした。前日に、厚労省のアドバイザリーボード(感染症専門家の会議)があり、東京では若年層を中心にリバウンドの兆しがあると指摘されていました。これまで減り続けていた都の新

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尾身茂会長が語る「変異株」「医療逼迫」——“第4波”を乗り切るために必要なこと

尾身茂会長が語る「変異株」「医療逼迫」——“第4波”を乗り切るために必要なこと

感染拡大は全く新しいフェーズに突入した。この危機にオールジャパンで対処せよ。/尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長) <summary> ▶私達はいま、3つの問題に直面している。第1の問題は、変異株の流行。第2の問題は、「感染の場」が見えなくなっていること。第3の問題は、年齢を問わず対策が十分でない人々が一部にいたこと。 ▶変異株は重症化するのが早いため、医療逼迫に至るのも早い。感染再拡大の予兆をどれだけ早くとらえて先手を打てるかが重要 ▶日本の医療制度は平時を想

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「尾身会長 VS 政府」苦悩する感染症専門家たち——官邸を丸め込むか、追い込むか

「尾身会長 VS 政府」苦悩する感染症専門家たち——官邸を丸め込むか、追い込むか

どうやって菅首相の関心を経済から感染症対策へ動かすべきか——専門家の意見は割れた。/文・広野真嗣(ノンフィクション作家) <summary> ▶︎感染が拡大するコロナを前にした専門家たちの課題は「どうやって経済から感染対策へ菅の関心を動かすか」だった ▶︎専門家たちのアクションのスタンスも違った。助言に徹する立場の押谷・尾身。40代の西浦・和田らは直接国民に訴えかけようとした ▶︎菅政権になって、厚労省から感染症対策に関するインプットが減った、と西浦は指摘する 「飲食店だ

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【分科会メンバー特別寄稿】なぜ感染爆発は起きたのか? 「コロナ第3波“失敗の本質”」5つのポイント

【分科会メンバー特別寄稿】なぜ感染爆発は起きたのか? 「コロナ第3波“失敗の本質”」5つのポイント

昨年11月後半の約10日間、菅首相には挽回するチャンスがあった。なぜそれができなかったのか。分科会メンバーが振り返る「コロナ第3波」失敗の教訓とは。/文・小林慶一郎(東京財団政策研究所研究主幹) <summary> ▶「GoTo」継続には政府内の深刻な情報ミスマッチがあった ▶緊急事態宣言は「出さない」が暗黙の了解になっていた ▶︎対策のリーダーは菅首相?分科会?厚労省?「司令塔」はあいまいだった 小林氏 (1) 第3波の失敗から何を学ぶか 第3波の始まりは今でもよく

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緊急事態宣言「東京を抑えなければ感染は終わらない」|尾身茂(コロナ分科会会長)

緊急事態宣言「東京を抑えなければ感染は終わらない」|尾身茂(コロナ分科会会長)

感染爆発に苦闘する新型コロナ分科会・尾身茂会長のインタビュー。「菅首相は私に『GoToの意義』を熱く語りかけた」と明かす尾身会長が考える、今最善のコロナ対策とは。/聞き手・広野真嗣(ノンフィクション作家) <summary> ▶︎今回の流行の実像は、大都市の10-50代が無症状のままウイルスを地方に運ぶ。飲食がドライビングフォースとなって、家庭や施設を経由して高齢者に伝播し、重症化していくというサイクル ▶︎問題の核心は、東京都の感染状況。首都圏から地方へ広がっている ▶︎

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「経済」か「感染防止」か| 識者4人が徹底討論“コロナ・サバイバル”

「経済」か「感染防止」か| 識者4人が徹底討論“コロナ・サバイバル”

「第2波」が猛威をふるっている2020年の日本の夏。コロナ危機の収束に向け私たちが生き残る道はどこにあるのか。経済優先か、感染防止優先か。4人の有識者が徹底討論!/小林慶一郎(東京財団政策研究所研究主幹)×舘田一博(東邦大学医学部教授)×三浦瑠麗(国際政治学者)×宮沢孝幸(京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授) 国難を乗り越える 三浦 7月から政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が新たに設置されました。それまでコロナ対策について感染症専門家の見地から助言等を行って

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コロナ感染拡大で緊急事態「再宣言」はありうる|尾身茂

コロナ感染拡大で緊急事態「再宣言」はありうる|尾身茂

緊急対応のレベルを上げるボタンを押すというシナリオはある。敢えていうと、感染症対策のことだけを考えるならば、もうボタンを押してもいい、という局面までは来ている。/文・尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長) 聞き手・広野真嗣(ノンフィクション作家) 感染症防止と経済対策 ウイルスというものは目に見えず、人を介して伝播する性質があります。現実の人間の集団の日々の動きに影響を受けながら、拡がり方も変化する。このため感染対策も、人々の行動パターン・感染状況を素早く捉えて

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ドキュメント 感染症「専門家会議」 国家の命運を託された3人の研究者

ドキュメント 感染症「専門家会議」 国家の命運を託された3人の研究者

尾身茂、押谷仁、西浦博。これは、未知のウイルス、そして国民と政府を相手に奮闘した3人の男の「闘い」の記録である。この4カ月、いったい何が起こっていたのか。/文・広野真嗣(ノンフィクション作家) 「科学と政治」の境界で その男は「速足」である。 この4カ月、日本の新型コロナウイルス感染症対策の中心で動き続けたその男、東北大学大学院教授の押谷仁(61)は、山岳部に所属した学生時代は年間100日、今も50日は山に登ると言われる。健脚なのだ。 ようやくつかまえたのは5月21日

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