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正岡子規というと、横顔の写真が浮かんでくる人も多いだろう。写真が貴重であった時代に、横を向いて撮るなんてのは、よっぽどのヘソまがりに違いあるまい、と思う。 子規が生まれたのは愛媛県松山。松山市立子規記念博物館名誉館長であった故天野祐吉さんが、松山の方言「よもだ」こそが、まさに子規の気質だと話されていたのを思い出す。天野さんは、子規の持つ反骨精神と、肩ひじ張らずユーモアで生きようとする精神を評価されていた。 そういえば、「子規」の名も、血を吐くまで啼くホトトギスの漢名
がんでの入院中、心の支えは俳句でした。/夢枕獏(作家)×夏井いつき(俳人) 夢枕さん(右)と夏井さん(左) 「俳句が心の支え」夢枕 ご無沙汰しています。少し前までまた入院していて……。直接お会いするのは2年ぶりくらいかな。 夏井 メールをいただいたときには本当に驚きましたよ。「がんになってしまった」と。 夢枕 昨年3月に悪性リンパ腫のステージⅢと診断されまして。抗がん剤の副作用もなかなか辛くて、それからはもう、釣りも遊びも原稿も、すべてキャンセルしなければいけなくなっ
著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、夏井いつきさん(俳人)です。 テストの点数私の実家は、愛媛県の南端にある小さな村で、特定郵便局を営んでいました。郵政民営化の前は、家業として代々引き継がれている郵便局が数多くあったのです。うちの父は3代目の局長で、母は局員として勤めていました。 父は寡黙で、田舎のインテリといったタイプ。本を読むのが好きで、青年団でバンドを結成してギターも弾いていました。また、自宅には手作りの暗室を作って、写真を撮るのを趣味にしていました
夏井いつき(なついいつき・俳人) 松山は道後温泉のほど近くに構えられた伊月庵。その扉は、万人に開かれている。庵主である俳人・夏井いつき(63)は、“俳句集団”「いつき組」の組長だ。 「結社ではないから、入るのに特別な資格は必要ありません。『俳句って楽しい!』という人は勝手に名乗って、俳句の種蒔きを手伝ってくれたら嬉しいです」 いつき組を“広場”と称する。 「俳句は気の合う人同士で自由に詠めばいい。組長の私が真ん中の噴水近くにいて、それをたくさんの小さなグループが囲
秋思秋思叩くピアノの中のハンマーは 楽団の一行菊の宿に着く 旗百本分の秋天屹立す 黄落(こうらく)のひかりの走るまぶたかな 葉鶏頭(はげいとう)福山通運通用口 蓑虫やそれは揺れすぎではないか 露草やかなしみにくじけるこころ 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載された記事への感想・疑問・要望、または記事(に取り上げられたテーマ)を題材としたエッセイ、コラム、小説……などをぜひお書きください。投稿形式は「文章