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スターは楽し エディ・マーフィ|芝山幹郎

スターは楽し エディ・マーフィ|芝山幹郎

エディ・マーフィ 「複数の色彩」という鉱脈 見終わった直後は、「エディ・マーフィが、久しぶりに鉱脈を見つけたな」という程度の印象だった。 ところが、妙に舌に残る。面白さがじっくりと煮込まれていて、後味がよい。舞台になった1970年代のロサンジェルスを、私自身が思い出したためだろうか。あの時代特有の「楽しい猥雑さ」や「笑えるはしたなさ」がそっくり再現されていたのは望外の収穫だった。いまの私は、『ルディ・レイ・ムーア』(2019)に奇妙な愛着さえ覚えている。 ムーアは

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