マガジンのカバー画像

文藝春秋digital

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「月あたり450円から」の「文藝春秋 電子… もっと読む
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス… もっと詳しく
¥900 / 月
運営しているクリエイター

#最強の教養書10

文藝春秋digital読者の皆さまへ、編集長より最後のお願い【「文藝春秋 電子版」1年無料プランのご案内】

5月31日、「文藝春秋digital」はクローズいたします。 これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。 先にもお知らせした通り、月刊文藝春秋のサブスクリプションは「文藝春秋 電子版」に一本化します。これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただいた皆さまには、突然のお知らせになったことを、改めてお詫び申し上げます。 「文藝春秋digital」のサービスが終了しますと、6月から皆さまに最新記事をお届けできなくなってしまいます

『存在と時間』 マルティン・ハイデガー(後編)|福田和也「最強の教養書10」#10

人類の栄光と悲惨、叡智と愚かさを鮮烈に刻み付けた書物を、ひとは「古典」と呼ぶ。人間知性の可能性と限界をわきまえ、身に浸み込ませることを「教養」という。こんな時代だからこそ、あらためて読みたい10冊を博覧強記の批評家、福田和也がピックアップ。今回は、ハイデガーによる、この1冊。(後編) ★前編を読む。 死の恐怖に怯えながらも成長し大学に入った私はフランス文学を専攻して、一つのテーマを得た。 それは第二次世界大戦中、1940年から44年までのドイツ占領軍のフランス統治に協力

『存在と時間』 マルティン・ハイデガー(前編)|福田和也「最強の教養書10」#10

人類の栄光と悲惨、叡智と愚かさを鮮烈に刻み付けた書物を、ひとは「古典」と呼ぶ。人間知性の可能性と限界をわきまえ、身に浸み込ませることを「教養」という。こんな時代だからこそ、あらためて読みたい10冊を博覧強記の批評家、福田和也がピックアップ。今回は、ハイデガーによる、この1冊。(前編) 私は眠れない子供であった。 ベッドに入って、目をつぶっても、意識が覚醒していて、眠りの世界に入っていけない。 仕方がないので、枕元に小さなスタンドを置いて、夜通し本を読んでいた。 中学生

福澤諭吉『文明論之概略』(後編)|福田和也「最強の教養書10」#9

人類の栄光と悲惨、叡智と愚かさを鮮烈に刻み付けた書物を、ひとは「古典」と呼ぶ。人間知性の可能性と限界をわきまえ、身に浸み込ませることを「教養」という。こんな時代だからこそ、あらためて読みたい10冊を博覧強記の批評家、福田和也がピックアップ。今回は、福澤諭吉による、この1冊。(前編) ★前編を読む。 『文明論之概略』が出版されたのは、明治8年8月。『学問のすゝめ』14編が刊行されて間もなくのことだった。 嘉永6年のペリーの来航によって日本は、西欧が支配する政治と経済に適応

福澤諭吉『文明論之概略』(前編)|福田和也「最強の教養書10」#9

人類の栄光と悲惨、叡智と愚かさを鮮烈に刻み付けた書物を、ひとは「古典」と呼ぶ。人間知性の可能性と限界をわきまえ、身に浸み込ませることを「教養」という。こんな時代だからこそ、あらためて読みたい10冊を博覧強記の批評家、福田和也がピックアップ。今回は、福澤諭吉による、この1冊。(前編) 日本で初めて1万円札が発行されたのは、1958年12月1日である。 インフレと高度経済成長に対応するため、高額紙幣が必要になったという理由からだが、当時の大卒の初任給が1万3000円だったこと