福澤諭吉『文明論之概略』(前編)|福田和也「最強の教養書10」#9
人類の栄光と悲惨、叡智と愚かさを鮮烈に刻み付けた書物を、ひとは「古典」と呼ぶ。人間知性の可能性と限界をわきまえ、身に浸み込ませることを「教養」という。こんな時代だからこそ、あらためて読みたい10冊を博覧強記の批評家、福田和也がピックアップ。今回は、福澤諭吉による、この1冊。(前編)
日本で初めて1万円札が発行されたのは、1958年12月1日である。
インフレと高度経済成長に対応するため、高額紙幣が必要になったという理由からだが、当時の大卒の初任給が1万3000円だったこと