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川の流れと人の世は|髙樹のぶ子

文・髙樹のぶ子(作家) 私の祖父は農作業をしていて、茅か何かで目を傷付けたあとの手当が悪かったのか、片目を摘出し隻眼の人となった。けれどいつも、遠くを見ていた。たとえば千年の古(いにしえ)を。 我が家の田畑に沿って南北に流れ下る小川を、平安時代の周防国の国衙(こくが)跡の東の境界…