文藝春秋digital

森絵都さんが今月買った10冊の本

語られない記憶 時々、飲み会の席などで「自分の人生は小説になる。ネタにしてもいいよ」みたいなことを言われることがあるけれど、今のところネタにさせてもらったことはない。真なる小説の種は、人々が秘して語らない記憶の中にこそ潜んでいる気がする。 長編小説『十の輪をくぐる』は、病を機に意…

どこかへ|角野栄子

文・角野栄子(作家) ここではないどこかへ行きたい――。ずっとそう思って生きてきたような気がする。80年あまりも。じゃ、どこへ行くの? それが決まってない。いつも「どこか」なのだ。でも、そこには何かがあるはず。それが見たい。「ここ」がすごく不満だというわけでもないのに、何故かいつも…

朝井リョウ×遠野遥 “平成生まれ初”芥川賞&直木賞対談「新世代の看板を下ろすとき」

2009年、20歳で『桐島、部活やめるってよ』で小説家デビューした朝井リョウ氏は、13年に就職活動中の大学生を描いた『何者』で第148回直木賞を受賞する。選考委員の一人である宮部みゆき氏はその執筆姿勢を、「大きな勇気と人間の善意を信じる寛容な想像力がないとできない。この若さでそれができるこ…

森絵都さんが今月買った10冊の本

「自由」の概念 マスクを巡る論争が続いているけれど、欧米の各地で「マスクをしない自由」を訴えるデモが起こるたび、正直、私は不思議に思っていた。たかがマスクなのに、と。あんなに小さくて薄っぺらいものに拳をふりあげて断固拒否するほどの「不自由」がついてまわるのだろうかと疑問だった。 …

赤川次郎さんのオヤジの話。

著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、赤川次郎さん(作家)です。 ひとかけらの記憶  小学3、4年生のころだったと思う。当時東映の教育映画部長だった父について、日光へロケを見に行った。古い木造校舎と校庭での撮影を眺めていると、カメラマンから、 「坊ちゃん、ちょっと出て…

新天皇・雅子皇后の素顔「人名記憶力に驚嘆した」――藤原正彦

陛下はお酒、雅子さまは生き物が大好き。ご出産秘話から御所の中の私生活まで……新天皇・皇后おふたりに接した人々が素顔を明かす。 文・藤原正彦(作家)