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「一人称単数」を読むと、筋の通らない物語を語りたくなる|岸田奈美

「一人称単数」を読むと、筋の通らない物語を語りたくなる|岸田奈美

村上作品の感想を書くと、なぜか自分の話ばかりしてしまう 文藝春秋さんから「『一人称単数』の書評をお願いします」と頼まれて、嬉々として引き受けた数分後に、わたしは唸りながら頭を抱えていた。 わたしは4月に刊行された「猫を棄てる 父親について語るとき」で、はじめて村上春樹作品を手にとった。わたしが彼の作品に長く手が伸びなかったのは、亡き父が熱烈なファンであったことに由来するのだけど、長くなるのでここで説明はやめておく。 ともかくその本に深く感動して、単行本を片手にしばらく放

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