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この寂しき酔いどれの笑声|新庄耕

この寂しき酔いどれの笑声|新庄耕

文・新庄耕(作家) その知らせがもたらされたのは、昨年のことだった。電話口から聞こえてくるカズの声がいつになく切迫しているのに間もなく気づいた。 「タミオさんが亡くなったそうです」 タミオさんが体調を崩しているとは知っていた。だが、まさか死につながるほどの病をかかえているとは思っていなかった。私は電話を切ったあとも、その事実をなかなか信じられないでいた。 タミオさんとは、カズがバーテンダーをしている下北沢のレディ・ジェーンで知り合った。どういう流れで、どちらから話しか

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