文藝春秋digital

濱口竜介 カンヌより

濱口竜介 カンヌより

文・濱口竜介(映画監督) カンヌ国際映画祭には3年ぶりの参加でしたが、パンデミックの最中でも、熱気は以前とさほど変わりませんでした。コンペティション部門で、私の作品が上映されたときは、客席はほぼ満席で歓声が湧き、日本人の私の感覚からすると、少し怖く思えるほどでした。 村上春樹さんの原作を映画化した『ドライブ・マイ・カー』が私にとっては2度目のカンヌ映画祭、コンペティションへの出品でした。結果として、東京藝術大学大学院で私の先生だった黒沢清監督が受賞されて以来、20年ぶりの

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“No.1百均”ダイソーの「在庫があるとうれしい」独自の経営哲学

“No.1百均”ダイソーの「在庫があるとうれしい」独自の経営哲学

誰もが知る100円ショップブームの先駆け企業を強くしたのは「将来を怖がる力」だった。/文・樽谷哲也(ノンフィクション作家) <summary> ▶︎自らを笑われ者にし、道化を演じ、相手を己の懐に絡めとる人心収攬の術に長けた男。それがダイソー創業者の矢野博丈だ ▶︎雑貨の移動車販売をやっている頃、「これいくら?」と聞いてくる客に「全部100円でええよ!」と答えたことが百均の興りである ▶︎ダイソーは91年に直営店第1号をオープン。消費不況、デフレを追い風にして店舗網を拡大して

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『実像 広島の「ばっちゃん」中本忠子の真実』著者・秋山千佳さんインタビュー

『実像 広島の「ばっちゃん」中本忠子の真実』著者・秋山千佳さんインタビュー

 広島市基町(もとまち)の自身が住む市営アパートを拠点として、40年近く非行少年らに無償で手料理を毎食提供してきた、元保護司の“ばっちゃん”こと中本忠子(ちかこ)さん。今まで描かれなかった、ばっちゃんの活動の本当の理由を、足掛け3年にわたる取材で紐解いたのが本作だ。 「中本さんに初めて会ったとき、緊張気味の私に、『まあまあ、どうぞ召し上がれ』と、すじ肉入りのカレーを出してくださり、気持ちがほぐれました。私は貧困問題などの取材を通じて、家庭環境に難があり学校からもこぼれ落ちた

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