角田光代さんの「今月の必読書」…『ミス・サンシャイン』吉田修一
大学院生が80代の大女優に恋をした長崎出身の大学院生、岡田一心は、ゼミの教授の紹介で、昭和の大女優の家の片づけアルバイトとして雇われる。それをきっかけに一心は、80代になり、とうに引退している和楽京子、本名石田鈴さんの出演作を見返していく。
デビュー当時の和楽京子は「肉体派」「アプレ女優」と呼ばれ、その後アカデミー賞にノミネートされるほどの大女優となる。興味深いのは、和楽京子出演作を振り返るということは、戦後の映画史、そして戦後の社会の空気を振り返ることでもある、という点だ