「朱色の化身」著者・塩田武士さんインタビュー
グリコ・森永事件を題材にとり80万部を突破したベストセラー『罪の声』(講談社)など、元神戸新聞記者の経歴を活かした作品を数多く発表してきた塩田武士。作家デビュー10周年に書かれた本書も、真実を追う記者を描きながら、新しい創作手法にも挑んだ意欲作だ。
「福井県の芦原温泉を訪れたとき、神社の看板に『昭和31年の芦原大火で温泉街が灰燼に帰した』とたった2行で書かれていたんです。これは作品のテーマになると直感して取材を始めました」
主人公のライター・大路亨は、自身の父親からとある