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第165回芥川賞受賞者インタビュー 石沢麻依「母との『カラマーゾフ事件』」

第165回芥川賞受賞者インタビュー 石沢麻依「母との『カラマーゾフ事件』」

読書家の母との対話が新芥川賞作家を生んだ。/文・石沢麻依(作家) 石沢さん 〈授賞のことば〉言葉が生々しく、遠いものと感じられる。パソコンの画面の向こうから届く声や言葉は鮮やかではあるが、私がいる場所はとても静かなままだ。空気を伴わない言葉は現実感に乏しく、私の口が発するものも同じことになっているのではないか、と不安がよぎる。 小説は私を遠くへ連れてゆくが、それは書いている間だけだった。書き上げたものが、まさかこれほどまで私を遠くへ運んでしまうとは思わなかった。そこには

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脳内ドイツ|マライ・メントライン

脳内ドイツ|マライ・メントライン

文・マライ・メントライン(エッセイスト) 職業はドイツ人、と自らの売り文句を設定すると、自動的にいろいろな局面で「ドイツ代表」的なポジションを与えられる。そこで重要となってくるのは、ドイツについて相手が持っているイメージの是認と否定、その双方を的確にこなすことだ。 これについては、ドイツおよびドイツ人の実情を踏まえて是々非々で誠実に応えれば、顧客も自然に満足してくれるだろう、と当初思っていたけど、現実はそう単純でない。なぜかといえば往々にして、顧客が私に求めるのは実情レポ

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民主主義と透明感|多和田葉子

民主主義と透明感|多和田葉子

文・多和田葉子(作家) 3月の第1週までは毎週旅に出る生活を送っていた。3月8日にニューヨークからベルリンの自宅に戻った時トランプ大統領はまだ、「アメリカにはコロナ危機は訪れない」と断言していた。ベルリンではそのあと2週間くらいの間にどんどん規制が決まって、あっという間にシャットダウンに至った。わたしは今年の3月23日が60歳の誕生日だったので、ベルリンの鮨レストランを貸し切りにして祝うつもりでいた。3月10日頃にはまだ「ドイツ人には納豆巻きは無理かもしれないのでその分サー

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柳田邦男【再検証・コロナ対策】 この国の「危機管理」を問う|“リスク分析先進国”ドイツと日本は何が違うのか

柳田邦男【再検証・コロナ対策】 この国の「危機管理」を問う|“リスク分析先進国”ドイツと日本は何が違うのか

欧州で新型コロナウイルスが猛威を振るう中、なぜドイツだけ格段に致死率が低かったのか。そこから学べる教訓とは何か。一方、「危機管理の絶対条件」が欠落していた日本政府の対応は何が問題だったのか。数々の災害、事故を取材してきたノンフィクション作家の柳田邦男氏がコロナ対策を再検証する。/文・柳田邦男(ノンフィクション作家) 柳田氏 最悪のリスクをシミュレーション中国の武漢で、後に新型コロナウイルスと名付けられる、未知の肺炎患者が相次いで発生し始めた2019年12月から遡ること7年

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