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【下重暁子】人生に迷ったら「待ちなさい」

【下重暁子】人生に迷ったら「待ちなさい」

新たな成長への萌芽は「待つ」ことで育まれる。/文・下重暁子(作家) <summary> ▶ほんとうに必要なもの、命にとって大切なものを待つことなど、ほとんどなくなってしまった ▶コロナの時期に自分を見つめることが出来た人だけが、成長する。新しい価値に気づき、それを自己表現として、創造することが出来るのだ ▶自分と向き合わざるを得ない日が必ずやって来る。そのための訓練の時間と思えば苦にならない。スマホで人とつながろうが、簡単に答えを得ようが、自分の中で感じ、考え、見つけ出さな

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詩|黒川隆介

詩|黒川隆介

花藤 子どもが大きくなっていくことより 親が小さくなっていくことの方がショックなんだ ハーパーを飲み残したまま そう言って中年男はつぶれた 初めて訪ねた港町の初めて入ったバーで なかば絡まれたようなひと時だったが その一言が聞けた御礼にタクシーまで担いで乗せた 忘れてしまった夜の数だけ 生きた皺がきざまれるように またどこかで 誰かの今日が ひとつ遠くなっていく

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特別養子縁組で親になる|久保田智子

特別養子縁組で親になる|久保田智子

文・久保田智子(TBS報道局所属) かつてアナウンサーだった私は、天真爛漫だね、などと言われることも少なくなかった。その都度、自分の内面の暗さは表面化していないのだな、と安心した。 「子供は難しいでしょう」。そう医者に告げられたのは20代の頃だった。それからというもの、自分は不幸の塊だと思って生きていた。結婚して、子供を持って、いつか孫ができて、死んでいく。それまで当たり前に思い描いていた人生の歩みは、自分にとっては決して当たり前ではなく、どんなに努力をしても手に入らない

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