文藝春秋digital

隣人への想い|藤原正彦「古風堂々」

文・藤原正彦(作家・数学者) 芭蕉の最晩年の句に、「秋深き隣は何をする人ぞ」というのがある。晩秋の夜、誰かも分からない隣の人に想いを馳せる、という人間的ぬくもりのこもった名句である。日本の生んだ大数学者の岡潔先生は、この句に表われた「自分以外のものへのそこはかとないなつかしさ」こ…

佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史『リング』鈴木光司

コロナに直面した日本人の深層心理 最近、作家・鈴木光司氏の小説『リング』シリーズを読んだ。ホラー小説の歴史に残る名作だ。同日同時刻に4人の若い男女が激しい苦悶の表情を残して死んだことが物語の発端だ。4人の死をつなぐのは呪いのビデオテープだ。そこに映っていたのは、山村貞子という女性が…