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武田徹の新書時評 子どもたちの未来のために

武田徹の新書時評 子どもたちの未来のために

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 子どもたちの未来のために安倍政権誕生以来の重点政策だった大学入学共通テストへの外部試験、記述式問題の導入は、実施に問題ありとしていずれも見送られる結果になった。こうした見通しの甘さは、未来の命運を握る教育を舵取りする上で致命的ではないか。 たとえば菅政権は「こども」と「デジタル」を看板政策とするが、確かな検証なくデジタル技術を教育へ導入すれば実効性を欠くどころか危険ですらあろう。その点、バトラー後藤裕子

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武田徹の新書時評|異形の怪物の歴史

武田徹の新書時評|異形の怪物の歴史

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 異形の怪物の歴史 サブカルに疎い人でもシリーズ完結作となる新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||』が公開され、話題を呼んでいる程度は知っているだろう。1995年にTVアニメとして最初の“エヴァ”が始まった時、敵キャラの“分かりにくさ”が鮮烈な印象を残した。それまでの特撮やアニメに登場する敵は人間と似た姿で、宇宙から来たはずなのに日本語を話したりするが、エヴァでは意志の有無どころか生物かどうかも不明な、

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武田徹の新書時評| “人間という管”の入口と出口

武田徹の新書時評| “人間という管”の入口と出口

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。  “人間という管”の入口と出口  「人間は、しょせん一本の管である」と書いたのはエッセイストの山口瞳だった。確かにいかに金持ちでも才人でも食べては排泄を繰り返す“食物の通り道”として一生を終えることに変わりはない。 しかし、その“管”は実はなかなかのものらしい。辨野義己『「腸内細菌」が健康寿命を決める』(インターナショナル新書)によれば、腸内では1000種類にも及ぶ細菌が活動し、消化吸収を助けるだけでな

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武田徹の新書時評|戦後民主主義と今日の民主主義

武田徹の新書時評|戦後民主主義と今日の民主主義

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 戦後民主主義と今日の民主主義 次々に難題に見舞われる日本社会では過去が刻々と風化してゆく。たとえば安保関連法制反対デモが国会前で展開された2015年、学生集団SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が注目された記憶も既に薄れがちだ。 政治団体に所属する学生から既存勢力とは無関係に貧困や性暴力問題の解決を目指す学生まで偏りなく取り上げた小林哲夫『平成・令和 学生たちの社会運動』(光文社新書)のな

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武田徹の新書時評|専門家に委ねてはならない「原子力」

武田徹の新書時評|専門家に委ねてはならない「原子力」

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 専門家に委ねてはならない「原子力」菅義偉首相は就任後の所信表明演説で2050年までに脱炭素社会を目指すと述べた。気になるのは実現の方法だ。経済活動の規模を維持しつつ炭素排出量を大幅に減らすには原発の利用が現状では有力な選択肢とならざるをえないが、東日本大震災後、原発に関しては賛否が厳しく対立している。政府は原子力をどう使うつもりなのか。その利用範囲を軍事にまで広げる野心がもしあれば話は安全保障にも及んで更

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武田徹の新書時評|音楽と社会のあり方を考える

武田徹の新書時評|音楽と社会のあり方を考える

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 2020年はベートーヴェン生誕250年に当たり、新書でも関連書が揃った。 中野雄『ベートーヴェン』(文春新書)は罵声と殴打で息子を鍛えた父など家族の紹介から始まり、名曲『英雄』『運命』も初演では失敗続きだった天才音楽家の多難な人生を辿る。モーツァルトとのニアミスや聴覚障害についてのエピソードも興味深い。 浦久俊彦『ベートーヴェンと日本人』(新潮新書)は日本独特のベートーヴェン受容がテーマだ。音楽取調所

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武田徹の新書時評|過渡期にあるアメリカ

武田徹の新書時評|過渡期にあるアメリカ

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 この稿が読まれる時には第46代米国大統領が決まっているはずだ。だが、現職トランプ勝利で更に加速度をつけるか、民主党が政権奪還して別方向に切ろうとする舵に抵抗する惰性として残るかの違いこそあれ、米国の現勢がその未来に影響を及ぼすことはまちがいない。そこで今回は大統領選後の米国を考えるうえで役立つ、アメリカの現在を確かに描き出す新書3冊を選んでみた。 渡辺靖『白人ナショナリズム』(中公新書)はトランプ政権の

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武田徹の新書時評|コロナが浮き彫りにした「東京問題」

武田徹の新書時評|コロナが浮き彫りにした「東京問題」

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 あれは東京問題――、菅義偉首相は官房長官時代に東京都の新型コロナウイルス感染者急増について、23区の保健所を制御できない都庁の問題だと突き放すように述べた。ただ、都の肩を持つわけではないが、人口が集中し、通勤・通学などの移動の機会が多い東京には感染症が広がりやすい条件がそもそも揃っていることは確かだろう。 そんな過密都市・東京は一朝一夕に作られたわけではない。秋山武雄『東京レトロ写真帖』(中公新書ラクレ

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武田徹の新書時評|元始、新書は実用書だった

武田徹の新書時評|元始、新書は実用書だった

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 平塚らいてうの言葉を真似れば、元始、新書は実用書だった。新しい知識が得られて役立つだけではない。一流の専門家が創造活動のノウハウを惜しげもなく伝授してくれる場も主に新書だったのだ。 その代表格が梅棹忠夫『知的生産の技術』(岩波新書)だ。1969年に刊行されて通算100刷。現在も著者の生誕100年、没後10年と記載された帯が巻かれて新刊書と一緒に書店に並ぶ。 梅棹は仮名と漢字が入り混じる日本語は効率的な

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武田徹の新書時評――中国はモデルか、反面教師か

武田徹の新書時評――中国はモデルか、反面教師か

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。

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