文藝春秋digital

橘玲さんが今月買った10冊の本

橘玲さんが今月買った10冊の本

よりよい世界古来、自らの手で「よりよい世界」をつくろうとした者は枚挙にいとまがないが、そのほとんどは悲惨な結果を招いた。 だがいま、人間の不合理性を前提にしたうえで、合理的に社会をデザインしようとする新しい“ユートピア思想”が台頭している。自由市場経済と共産主義(私有財産の否定)を合体する『ラディカル・マーケット』は、このメカニカル・デザインの最先端。話半分としてもきわめて魅力的で、近年、もっとも知的好奇心を刺激された一冊。 「知識社会における経済格差は“知能の格差”の別

スキ
17
橘玲さんが今月買った10冊の本

橘玲さんが今月買った10冊の本

事実と虚構の間 連邦議会議事堂を占拠した熱烈なトランプ支持者のなかには、「ディープステイト(闇の政府)」がアメリカ社会を支配しているという陰謀論を信じる「Qアノン」なるグループがいるという。『エデュケーション』は、連邦政府が秘密結社に支配されているばかりか、いままさに大災厄によって世界の終わりが訪れると信じるモルモン教の原理主義者(サバイバリスト)の家庭に生まれた女性の物語。行政を拒否する父親によって高校までいちども学校に通えなかった著者は、自らの意志で大検を受けて大学に入

スキ
11
コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 米社会の「ファンタジー」|橘玲

コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 米社会の「ファンタジー」|橘玲

トランプ時代のアメリカは、「なぜこんなひどいことになったのか」という疑問や不安にこたえようとする野心的な著作を生みだした。 ネットワーク論の世界的権威クリスタキスは『ブループリント』で、該博な知識を縦横無尽に駆使して「人間の本性」を検証した。その結論は、目の前の暗鬱な出来事にもかかわらず、ヒトの遺伝子には「よき社会をつくる青写真(ブループリント)」が埋め込まれているとのポジティブなメッセージだった。かつて進化生物学や遺伝学は「ナチスの優生学の再来」として忌み嫌われたが、リベ

スキ
20
橘玲さんが今月買った10冊の本

橘玲さんが今月買った10冊の本

米国の分断 黒人男性の死をきっかけにアメリカ各地で抗議行動の嵐が吹き荒れたが、感染症はそれ以前から進んでいたアメリカ社会の分断と混乱を顕在化させたにすぎない。それは世界の(そして日本の)明日の姿でもある。 アメリカにはヘロイン乱用者が100万人、鎮痛剤として処方されたオピオイドの乱用者が1000万人もいる。にわかには信じがたい数字だが、そもそもなぜ医師が処方する鎮痛薬でこんなことになるのか? それを地元のジャーナリストが追ったのが『DOPESICK』。製薬会社・医療業界の利

スキ
18
【橘玲 特別寄稿】臆病者のための「コロナ時代の資産防衛術」

【橘玲 特別寄稿】臆病者のための「コロナ時代の資産防衛術」

株、不動産、債券、金……プロでもお金が増やせない時代に私たちはどうするべきか。/文・橘玲(作家) <この記事のポイント> ●普通預金はコストをすべて銀行が負担してくれるきわめてすぐれた金融商品だ ●マイホームの購入は、レバレッジをかけた「投資」である ●リーマンショックのときもそうだったように、今回もオーソドックスな投資戦略の正しさが証明されるだろう サバイバル・バイアス 新型コロナで社会に不安が広がっている。給料やボーナスが減らされたり、仕事そのものがなくなってしまっ

スキ
33
【橘玲 特別寄稿】ヒトは「狡猾なウイルス」に試されている

【橘玲 特別寄稿】ヒトは「狡猾なウイルス」に試されている

新型コロナウイルスは世界中を大混乱に陥れた。感染症は本質をあぶりだす。ヒトの本性や社会の仕組みが浮き彫りになった。そしておそらく、これからもっと驚くようなことが起こるだろう。/文・橘玲(作家) 社会の本質があぶりだされた今年はじめ、ひとびとがなにに夢中になっていたか覚えているだろうか? 欧米では、「大人が私の未来をだいなしにしようとしている」と叫ぶスウェーデンの少女が大人気になり、気候温暖化で人類が滅びるのを防ぐべく、CO2(二酸化炭素)を大量排出する航空機に乗らない「飛

スキ
67
橘玲さんが今月買った10冊の本

橘玲さんが今月買った10冊の本

快感は論理に 20世紀の科学の最大のパラダイム転換のひとつが、進化論で起きたことは疑いない。DNAの二重らせんの謎が解かれ、生き物の生存・生殖戦略がアルゴリズムとして記述できるようになったことで、生物学は根本的に書き換えられた。  これを人間に拡張すると、私たちのよろこびやかなしみ、愛や憎悪も「利己的な遺伝子」が自己の複製を最大化するための戦略になる。こうして1970年代後半に、アメリカで「社会生物学論争」が勃発した。  ところが日本のアカデミズムは、この重大な出来事を無

スキ
13
【全文公開】意識や感情も進化の産物 橘玲さんの「わたしのベスト3」

【全文公開】意識や感情も進化の産物 橘玲さんの「わたしのベスト3」

作家の橘玲さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。  ダーウィンの進化論から1世紀、1953年にワトソンとクリックがDNAの二重らせんを発見し、遺伝の仕組みを解明したことで、生き物の生態をプログラム(アルゴリズム)として記述できるようになった。これが「現代の進化論」で、知の巨大なパラダイム転換を引き起こした。  リチャード・ドーキンスの世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』は、この“革命”を一般読者に向けてわかりやすく解説した記念碑的著作。遺伝子の「目的」は自らの複

スキ
11
橘玲さんが今月買った10冊の本は?

橘玲さんが今月買った10冊の本は?

4名の優れた「読み手」が、今月買った本を特別に教えます。今回の担当は、作家の橘玲さんです。

スキ
1