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#片山杜秀

北一輝 西洋を打倒するために 片山杜秀 100周年記念企画「100年の100人」

国家社会主義者の北一輝(1883~1937)が著した『日本改造法案大綱』は戦前右翼のバイブルとなった。その影響力を政治思想史研究者の片山杜秀氏が分析する。/文・片山杜秀(政治学者) 片山杜秀 100年前の1921年9月28日、社会運動家、朝日平吾が、大資本家、安田善次郎を暗殺し、その場で自殺した。遺書には北一輝の『日本改造法案大綱』の影響がみられる。この事件が昭和の血盟団事件や五・一五事件へとつながり、1936年の二・二六事件に至る。失敗したクーデターだが、首謀グループに

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100年後まで読み継ぎたい100冊 片山杜秀「この国の不安定な生きざま」

文・片山杜秀(慶應義塾大学教授) この国の不安定な生きざま日本は決して穏やかに生きられぬ国である。場所のせいだ。ロシアと中国がすぐ隣で、何かと角が立ちやすい。領土問題が何よりの証拠だ。東側には太平洋を挟んで米国がある。米国を意識しないでいられた19世紀までは、極東の島国としていざというときは鎖国でもすれば何とかなったが、百数十年前の黒船来航以来、そうも行かなくなった。 そこで張り合おうとしはじめたのだが、相手は世界的大国ばかりである。どんなに日本が力を付けても、どうしても

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片山杜秀さんの「今月の必読書」…『鷹将軍と鶴の味噌汁 江戸の鳥の美食学』菅豊

日本人の“鳥肉食文化”の小百科全書能に『善知鳥』なる演目がある。ウトウと読む。鳥の名という。シテは奥州の外ヶ浜の猟師の亡霊。「善知鳥を獲り続けた罪で、あの世で自分は雉にされ、善知鳥の化けた鷹に狩られている」と語り、地獄の責め苦を見せる。『善知鳥』の物語は文楽や歌舞伎の『奥州安達原』にも応用されている。善知鳥文治という侍が、禁制の鶴を密猟し、酷い目に遭う。 どちらも、殺生を悪とする仏教のおしえを踏まえた、鳥を巡る因果応報譚だろう。そんな物語が、能なら室町時代、文楽や歌舞伎なら

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緊急座談会《危機のリーダーの条件》 第4章 戦後復興から米中対立「民主主義は独裁国家に勝てるか」吉田茂、岸信介、安倍晋三、トランプ、習近平

日本を救えるのは誰か?明治維新から米中対立まで、全5時間の大討論!/葛西敬之(JR東海名誉会長)、老川祥一(読売新聞グループ本社会長)、冨山和彦(経営共創基盤グループ会長)、片山杜秀(慶応大学教授) (左から)葛西氏、老川氏、冨山氏、片山氏 戦後に現れた指導者たち——最後の第4章では、戦後から現代にかけての指導者たちを見ていこうと思います。戦時中の日本では、現実を客観視できず、的確な判断ができなかった指導者が目につきました。しかし戦後には、戦後処理や復興を一手に担った吉田

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緊急座談会《危機のリーダーの条件》 第3章 第2次世界大戦「勝敗を分けた決断力と知性」 近衛文麿、東條英機、チャーチル、ドゴール、ヒトラー

日本を救えるのは誰か?明治維新から米中対立まで、全5時間の大討論!/葛西敬之(JR東海名誉会長)、老川祥一(読売新聞グループ本社会長)、冨山和彦(経営共創基盤グループ会長)、片山杜秀(慶応大学教授) (左から)葛西氏、老川氏、冨山氏、片山氏 日本の敗因はどこに?——世界的な危機となった第2次世界大戦に話題を移したいと思います。明治維新による近代化を成し遂げた日本は、日清戦争、日露戦争までは上手く国家を運営できているように見えました。ところが第2次世界大戦前から、徐々に国家

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緊急座談会《危機のリーダーの条件》 第2章 明治維新「人材発掘とグランドデザイン」大久保利通、西郷隆盛、山縣有朋、伊藤博文、勝海舟

日本を救えるのは誰か?明治維新から米中対立まで、全5時間の大討論!/葛西敬之(JR東海名誉会長)、老川祥一(読売新聞グループ本社会長)、冨山和彦(経営共創基盤グループ会長)、片山杜秀(慶応大学教授) (左から)葛西氏、老川氏、冨山氏、片山氏 明治維新の原動力とは?——ここからは時計の針を大きく巻き戻したいと思います。コロナ禍において、有事に対応できない国であることを露呈してしまった日本ですが、かつての明治維新では凄まじいスピードで「国のかたち」を作りかえました。その意味で

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緊急座談会《危機のリーダーの条件》 第1章 コロナ危機「言葉の力とゼロリスク神話」菅義偉、ジョンソン、メルケル、アーダーン、マクロン

日本を救えるのは誰か?明治維新から米中対立まで、全5時間の大討論!/葛西敬之(JR東海名誉会長)、老川祥一(読売新聞グループ本社会長)、冨山和彦(経営共創基盤グループ会長)、片山杜秀(慶応大学教授) (左から)葛西氏、老川氏、冨山氏、片山氏 首相の退任というさらなる非常事態——新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界は想定不能の危機を迎えています。こうした非連続の「有事」に際して、指導者の資質、能力の差が如実に表れました。世界では、ニュージーランドのアーダーン首相、ドイ

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片山杜秀さんの「今月の必読書」…『書き取りシステム1800・1900』

分裂したロゴスの中に読み解く近代の病理「はじめにロゴスありき」。『新約聖書』の「ヨハネによる福音書」の冒頭である。古典ギリシア語のロゴスをドイツ語で何と訳すか。ゲーテの戯曲『ファウスト』でファウスト博士は苦悩する。ロゴスと言えば普通は論理と訳すかもしれない。論理は必ず言葉で表現されるから、論理的な言葉と訳した方が丁寧とも言える。でも、それではもの足らない。だって福音書なのだから。 キリストの言葉、即ち福音は、十分に論理的でもあるが、決して冷たく形式的ではない。愛に満ちている

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片山杜秀さんの「今月の必読書」…『デヴィッド・ボウイ 無(ナシング)を歌った男』

孤独な少年の、帰る先なき、上昇と下降の永劫の循環運動男の子は宇宙に飛翔する。1人乗りの屹立したロケットで。フロイト主義で簡単に解釈できる、男の子の欲望の1960年代的かたちだ。61年にガガーリンが1人乗りのボストーク1号で宇宙に行き、69年には3人乗りだけれどアポロ11号が月面に到達した。 日本ではその時代に『ぼくのクレヨン』という童謡も生まれたっけ。「おひさまはあか、そらはあお」。そんな日に鼠色のロケットが発射される。乗り組むのは「ぼく」ひとり。「てをふるママはたちまちま

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28枚の小室文書が晒した「眞子さまの危うさ」

小室さんの「勘違い」が令和皇室にもたらすものとは? ▼座談会出席者 江森敬治(毎日新聞編集委員) 片山杜秀(慶應義塾大学教授) 河西秀哉(名古屋大学准教授) 山口真由(信州大学特任教授・法学博士) <summary> ▶︎要するに、小室さんが公表した文書は「国民に向けての文章」ではない。国民にわかってもらおうとする文書ではない ▶︎小室さんの考える法律論と、日本社会に根づくより広義の“貸し借り”の感覚に決定的なズレがある ▶︎眞子さまが小室さんと結婚すれば、お二人はいず

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【片山杜秀×佐藤優】司馬遼太郎『坂の上の雲』大講義【最終回】|日清・日露と朝鮮半島

あえて“翻訳しない”が日韓関係を解きほぐす鍵になる。/片山杜秀(慶應義塾大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官) <summary> ▶︎日清・日露は「朝鮮半島」をめぐる列強の利害対立から起きた戦争。その意味で「朝鮮半島」は、まさに『坂の上の雲』の“影の主役”とも言える ▶︎司馬さんは、日本の植民地支配をことさら“美化する”わけでもない。かといって、「すみませんでした」と“頭を下げ続ける”わけでもない。「日本と朝鮮半島」の関係を冷静に捉えていて、今日の我々にも、いろい

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司馬遼太郎『坂の上の雲』とインテリジェンス 明石元二郎と広瀬武夫

司馬遼太郎の名作を読み解く短期集中連載の第4回。日露戦争の“情報戦”で活躍した2人から見える“日本のインテリジェンス”とは。/片山杜秀(慶應義塾大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官) <summary> ▶明石は「インテリジェンス=主」で「作戦=従」ですが、広瀬は「作戦=主」で「インテリジェンス=従」と対照的 ▶インテリジェンスをめぐっては2つの考え方があって、これを「テクネー(技術)」と捉えるか、「アート(芸術)」と捉えるかの違いがある ▶『坂の上の雲』は「忍者小

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司馬遼太郎『坂の上の雲』の日本語論 夏目漱石と正岡子規と秋山真之の「ことば」

司馬遼太郎の名作を読み解く短期集中連載の第3回。漱石と子規は、秋山真之とともに“近代日本語の創設者”だった。/片山杜秀慶應義塾大学教授×佐藤 優(作家・元外務省主任分析官) <summary> ▶︎司馬さんにとって、昭和の暗さの対極にある“明治の明るさ”を“遠望”するには子規は欠かせない存在だった ▶︎『坂の上の雲』は日本語論の視点から、もっと読み込まれてもいい作品 ▶︎真之などが作った、下士官が読んでも分かる“近代的日本語”によって初めて近代的な軍隊が“組織”として機能し

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片山杜秀さんの「今月の必読書」…『アメリカの世紀と日本』

冷戦下で日本を“特別待遇”無条件降伏。本書のキイワードだ。対米英への「開戦ノ詔勅」を読めば、日本の戦争目的は「東亜永遠ノ平和」、即ち大東亜共栄圏の確立と分かる。なら、米英がアジアから退くのが、日本の講和条件だったと考えられる。 では、米国の戦争目的は? 開戦前、米国は日本に中国等から手を引くことを求めていた。なら、日本がそうすれば講和可能だったか。否だ。米国の戦争目的は開戦直後に過激化した。アジアでの覇権争いは、軍国日本への聖戦に化けた。米国は世界に自由と民主主義を広める使

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