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文藝春秋digital

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「月あたり450円から」の「文藝春秋 電子… もっと読む
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#鴻巣友季子

文藝春秋digital読者の皆さまへ、編集長より最後のお願い【「文藝春秋 電子版」1年無料プランは明日まで!】

明日5月31日、「文藝春秋digital」はクローズいたします。 これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。 先にもお知らせした通り、月刊文藝春秋のサブスクリプションは「文藝春秋 電子版」に一本化します。これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただいた皆さまには、突然のお知らせになったことを、改めてお詫び申し上げます。 「文藝春秋digital」のサービスが終了しますと、6月から皆さまに最新記事をお届けできなくなってしまい

鴻巣友季子 『嵐が丘』との出会い

「大きくなったらなにになりたい?」という質問に対して、「夢の職業」を答えられない子だった。とくに夢中になるものもなく、習い事はなにひとつ長続きしなかった。でも、本を読んでいると大人は構いつけてこないので、本を盾のようにして目の前に立てていた。母が邦楽家で和風の家だったことに反発したのだろう、海外文学ばかり読んでいた。    長じて新訳することになるエミリー・ブロンテの『嵐が丘』に出会ったのも、外国文学のなかだ。ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』(新潮文庫)の主人公が大の

ノーベル文学賞 女性詩人の言葉|鴻巣友季子

文・鴻巣友季子(翻訳家・文芸評論家) 今年のノーベル文学賞は、米国の女性詩人ルイーズ・グリュック氏に授与された。 わたしは同賞の「受賞者解説待機要員」として、四半世紀にわたって毎年賞の行方を見届けてきた。ゼロ年代の半ばごろから、村上春樹が「候補」にあがっているという噂が出回り、賞自体が一気に注目されるようになった。 ルイーズ・グリュック(本国での発音はグリックに近いようだ)は、1943年、ニューヨーク市ロングアイランド生まれ。父方の祖父母はハンガリー系ユダヤ人で、父が生