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佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史 『人新世の「資本論」』斎藤幸平

新たな左派の理論的リーダーの誕生 わが国でも環境問題に対する関心が高まっている。コンビニやスーパーでのレジ袋が有料化され、エコバッグを持つ人が増えている。菅義偉首相は2050年の脱炭素化を宣言し、2020年12月25日に政府も「グリーン成長戦略」を発表した。 〈政府は25日、2050年の脱炭素化に…

佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史 『政治家の覚悟』菅義偉

コロナ禍があぶり出す各国の政治文化 1月16日に毎日新聞と社会調査研究センターが行った全国世論調査によると、菅義偉内閣の支持率は33%に下落した。2020年12月12日に行った前回調査では40%だったので、7ポイント下落した。不支持率は57%(前回49%)だった。他社の世論調査でも菅内閣の支持率は40…

司馬遼太郎『坂の上の雲』の日本語論 夏目漱石と正岡子規と秋山真之の「ことば」

司馬遼太郎の名作を読み解く短期集中連載の第3回。漱石と子規は、秋山真之とともに“近代日本語の創設者”だった。/片山杜秀慶應義塾大学教授×佐藤 優(作家・元外務省主任分析官) <summary> ▶︎司馬さんにとって、昭和の暗さの対極にある“明治の明るさ”を“遠望”するには子規は欠かせない存…

佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史 『政治的なものの概念』カール・シュミット

「友・敵理論」で日本学術会議問題を読み解く 日本学術会議が推薦した会員候補6人が菅義偉首相によって任命されなかった問題は、政争の具になってしまった。この問題が、日本学術会議と首相官邸の間で、閉ざされた扉の中で静かに話し合われたならば、軟着陸は可能だったと思う。現に2016年と17年の人…

司馬遼太郎『坂の上の雲』の組織論 “老舗企業vsベンチャー企業”で読む日露戦争

司馬遼太郎の名作を読み解く短期集中連載の第2回。/片山杜秀(慶應義塾大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官) <summary> ▶︎司馬遼太郎は、日露戦争を“国民の戦争”として描くのと同時に、それを迂回路として「先の戦争」を描いたとも言える ▶︎司馬遼太郎は、一貫して現場主義。現場…

佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史 『日本共産党の研究』立花隆

日本共産党は「普通の政党」なのか? 本誌12月号掲載の拙稿「権力論――日本学術会議問題の本質」に関して、11月19日、「しんぶん赤旗」(以下「赤旗」)が、「フェイクの果ての「赤旗」攻撃/菅官邸を擁護する佐藤優氏の寄稿」(三浦誠社会部長署名)と題し、評者を名指しで非難する記事を掲載した。…

第82回文藝春秋読者賞発表

受賞作 コロナ死「さよなら」なき別れ(11、12月号) 柳田邦男(やなぎだくにお) 権力論―日本学術会議問題の本質(12月号) 佐藤優(さとうまさる) 第82回読者賞は昨年12月7日、選考顧問の片山杜秀氏、本郷和人氏、三浦瑠麗氏の3名と、弊社社長・中部嘉人が、読者の皆さまの投票結果を踏まえて選…

司馬遼太郎『坂の上の雲』大講義 ビジネスマン必須の“最高の共通言語”【片山杜秀×佐…

「エリート」と「大衆」が分断された今こそ、世代を超えて読み継ぐべき「国民文学」。/片山杜秀(慶應義塾大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官) <この記事のポイント> ▶︎連載が開始されたのは1968年。右肩上がりの時代に、多くの読者は徐々に“成り上がっていく”自分を重ね合わせて…

佐藤優のベストセラーで読む日本の近現代史 「辺野古遠望 (『あなた』所収)」 大城…

日本による沖縄差別の構造を冷徹に見据える 作家の大城立裕先生が、2020年10月27日に沖縄県北中城村の病院で老衰で亡くなった。95歳だった。 〈大城氏は1925年生まれ。県立二中を卒業後、中国・上海にあった東亜同文書院大学に入学した。敗戦で大学が閉鎖され同大学を中退し沖縄に帰る。/戦後は米施…

権力論——日本学術会議問題の本質はここにある

日本学術会議を巡る問題は、もはや当事者の当初の意図を離れ、収拾がつかなくなっている。複雑に絡み合った問題を解きほぐす。/文・佐藤優(作家・元外務省主任分析官) <この記事のポイント> ●「学問の自由に対する介入」という批判がなされているが、もともと菅政権にそこまでの意図はなかった…