文藝春秋digital

連載小説「ミス・サンシャイン」#7|吉田修一

【前号まで】 昭和の大女優・和楽京子こと石田鈴の元で荷物整理のアルバイトをする岡田一心は、片思いだった桃田真希と付き合い始めたが、順調すぎる交際に言い知れぬ不安を感じていた。そんな折、一心は和楽京子が年下の俳優と結婚したものの、わずか三年ほどで破局していたことを知る。 ★前回の話…

連載小説「李王家の縁談」#16 |林真理子

【前号まで】 昭和十二年(一九三七)からの戦争は、終わるどころかますます激しくなっている。それでも人々は日本の勝利を疑わなかった。迎えた昭和二十年五月二十四日。けたたましいサイレンがB29の襲来を報せたその晩、伊都子が暮らした気品溢るる七百坪もの梨本宮邸は、戦火にのまれていったのだっ…

連載小説「李王家の縁談」#15 |林真理子

【前号まで】 昭和八年(一九三三)十二月二十三日、東京にサイレンが鳴り響く。天皇家に世継ぎが生まれたのである。待望の男児誕生に日本中が万歳三唱の声を合わせた。歓喜に身を浴しながらも、かつて娘を朝鮮の王世子のもとへ嫁がせた梨本宮伊都子妃は、朝鮮、中国と日本との関係悪化の報道に触れ、…

連載小説「ミス・サンシャイン」#6|吉田修一

【前号まで】 昭和の大女優・和楽京子こと石田鈴の元で荷物整理のアルバイトをする岡田一心は、鈴からハリウッド女優時代に交際していた米国人スターや日系人画家との恋愛模様について明かされる。一方、一心が思いを寄せる桃田真希は彼氏と別れ、新居で一人暮らしをスタートさせた。 ★前回の話を読…

連載小説「李王家の縁談」#14 |林真理子

【前号まで】 昭和六年(一九三一)十二月。梨本宮伊都子妃の娘方子のもとに男の子が生まれた。方子とその夫李垠は彼を玖と名付け、「二十九代の李王家の王」の誕生を心底喜んだ。翌年、方子の義妹徳恵のもとに女の子が生まれる。よろこびごとの続く伊都子の心に、精神病を患う徳恵だけが影を落として…

連載小説「ミス・サンシャイン」#5|吉田修一

【前号まで】 昭和の大女優・和楽京子こと石田鈴の元で荷物整理のアルバイトをする岡田一心は、思いを寄せる桃田真希に彼氏がいることを知る。一方、和楽京子は『竹取物語』でカンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を受賞後、活躍の場をハリウッドに移した際に暮らした邸宅について明かした。 ★前回の話を…

連載小説「李王家の縁談」#13 |林真理子

【前号まで】 昭和六年(一九三一)。梨本宮伊都子妃の娘方子の夫である李垠には徳恵という妹がいた。母親の死に心を病み、「早発性痴呆症」と診断された徳恵だったが、美しく誠実と名高い宗武志と結婚。新居への引っ越しも済ませ、順調な新婚生活を送るかに思えた。しかし、再び奇行を見せるようにな…

小説「ミス・サンシャイン」# 4|吉田修一

【前号まで】 昭和の大女優・和楽京子こと石田鈴の元で荷物整理のアルバイトをする大学院生の岡田一心は、彼女の作品を共通の話題にして、カフェの女性店員と交流を深めていく。肉体派女優と呼ばれた和楽京子は巨匠・千家監督の目に留まり、後に世界を席巻する『竹取物語』に出演した。 ★前回の話を…

新連載小説「ミス・サンシャイン」#3|吉田修一

【前号まで】 昭和の大女優・和楽京子こと石田鈴の元で荷物整理のアルバイトをする大学院生の岡田一心は、物置部屋で見つけた評伝の表紙を飾る鈴の姿に目を奪われた。手伝いにきた元マネージャーの市井昌子から鈴の女優時代の「呼吸」について聞かされ、鈴の演技に興味をひかれていく。 ★前回の話を…

連載小説「李王家の縁談」#12 |林真理子

【前号まで】 昭和五年(一九三〇)。佐賀藩主の鍋島家から梨本宮家に嫁いだ伊都子妃には娘が二人いた。長女方子は夫李垠と目を見張るような邸宅を建て移り住み、次女規子のもとには愛らしい赤ん坊が生まれた。喜びごとが続く中、今度は李垠の妹徳恵のもとへ縁談が舞い込む。曰く、「どんな娘でも心奪…